04 September, 11

「travel zine vol.6 "Buenos Aires"。」

ba00.jpg

2009年2月10日

AM10時、バスはRitro(ブエノスアイレスのバスターミナル)へと到着した。この一カ月、パタゴニア地方を旅している間に出会った人々から、「今、ブエノスアイレスは湿気も高くて、とにかく暑いよ。」…なんて聞かされたりもしていたのだが、実際、バスを降りた途端に空気の違いを肌で感じて、思わず声が出てしまった。「…こりゃまた、くそ暑いなぁ…。」

(travel zine vol.6 "Buenos Aires"より抜粋。)
 

ba01.jpg

湿気については、日本人である僕らにとってはそれ程でもないのだが、Tシャツ1枚でも汗ばんでくるような熱気はまさに『夏』のそれである。年末にこのバスターミナルに降り立った時には上着を羽織ったくらいだったのが、今は暑さで靴下を脱いでいるのだから、やはり随分と空気が違っている。バスの腹から出された荷物を受け取り、とりあえずターミナル室内へと移動。冷房の効いた涼しさに感動して、「都会に帰ってきたんだなぁ。」と、2人で思わず顔を見合わせてしまった。
 ターミナル建物内の雑踏を抜けると、ゴチャゴチャと忙しない駅前通りを数百メートル先の地下鉄駅まで移動する。何度も歩いた道だけれど、少し進んだ歩道の上で、いつもと違う妙な気配を感じた。何だろう…。少し考え、歩く速度を緩めてみると、2人の足の間から、何か液体の様なものがピュンピュンと飛び跳ねてきているのが分かったのである。「…んっ??」
 不思議に思ってさらに歩みを緩め、足元少し後ろ辺りをそれとなく確認してみると、そこには、多分マヨネーズかマスタードみたいな、ペースト状のものがベットリト付着していたのだ。「何だよ、これぇ!?」
…と、思うや、後ろから見知らぬおばちゃんが声を掛けてきて、何やらゴニョゴニョと呟きながら、ティッシュでその汚れを落とそうとし始めたのである。そこまで来てようやく、何となくこの一連の出来事に対して、「もしかして…。」と閃くものがあった。「もしかして、これが『マヨネーズ強盗』ってやつじゃないの?」
 それは、長旅をしている旅人たちの間で頻繁に話題に上る『南米式窃盗手口』の一つで、まずターゲットとなる旅行者の担ぐバックパックなどに、誰かが後ろからケチャップやマヨネーズを掛け、次に現れる『親切なおばちゃん』が汚れを拭いてターゲットの気を引きつけている間に、別の仲間がその横から現れてサブバックなどを盗み取っていく…という、大まかに言えばそういった類の、何とも手の込んだ窃盗手口なのである。
 「後ろから…マヨネーズ…親切なおばちゃん…。」
その組み合わせにピンときた、と同時に、後ろのおばちゃんに向かって「No Gracias (結構です)!」…と声を張り上げ、そのまま足早に地下鉄構内へと逃げ込んだ。警察が警備している切符売り場周辺まできてからパックパックを足元に下ろし、それを改めてよく見てみると、思っていた以上に大量のマヨネーズがその表面に踊っていたのである。「おいおい、ヒドイなぁ、これは。」
 この一カ月、とても平和に過ごしてきた『ど田舎』パタゴニア地方での日々を考えると、久しぶりに帰って来た『大都会』ブエノスアイレスで、その初日にこういう洗礼的な仕打ちを受けるというのは、何かの警告のようにも思えてしまう。「あんまり気を緩めていると、こういう事件に出くわしたりもするんだぞ。」…と。
  とにかく、再び戻ってきた「大好きな町」ブエノスアイレス。その第一日目は、こうしてどこか不穏な気配と共に、その幕を明けたのであった。

ba02.jpg

…と、懐かしいブエノスでの思い出が詰まったzine『Buenos Aires』が出来ました。
こちらもまた、金沢21世紀美術館に郵送済み。展示してもらえていることを祈りつつ。

コメント

ケープで一緒だったゆうすけです。
zineいいね。
おれもこういうことやりたいと思ってたんだ。
実行力あるなあ。すごい!

あ、前から思ってたんだけど写真どれもすごくかっこいいね。

ゆうすけさんへ。

お久しぶりです!元気ですか?

コメントありがとうございます。

何か、探り探りな感じではありますが、
とりあえずこんなことやってみています。
今週末には金沢の21世紀美術館に行って、
ちゃんと展示されてるのかどうか
確認してくる予定ですよ。

来月には東京都内でもジンのイベントがあるらしいので、そっちも参加してみたいなぁ…なんて、
たくらんでいる感じです。

最近は旅してますか?

お返事ありがとう。

こちらは最近もまだぷらぷらしてるなあ。
6月に日本帰ってきて、フェスや東北ボランティア行ったり、7,8月は京都でヴィパッサナーやりがてら親の車で四国から甲信越まで旅行したり、9月は新潟の山村に住み込みで農業&田舎暮らし体験みたいのしたり。
今は浜松の実家だけど、来週から一ヶ月くらい長野でWWOOF。

早く勉強終えてなんか形にしていきたい。二人みたいに。
まあ、今の状況もとっても楽しんでるけど。笑

年末前後くらいから東京に部屋借りて仕事も探して、数年経ったらどっか日本の田舎で半自給自足の生活始めたいと思ってる。

東京に落ち着いたら二人に会いたいな。

21世紀美術館にはしっかり展示されてたみたいだね。
うちらもそのzineのコーナー行ったけど、8月だったから見つけられなかった。笑
たまたま見つけられたらおもしろかったね!

ゆうすけさんへ。

なにやら色々と面白そうなことやってますねぇ(笑)。
僕らも行く行くは都会(東京)を離れて、静かなところでのんびり暮したいなぁと思ったりしています。…自給自足とまではいかないだろうけど、喫茶店したりとか、古道具屋したりとか!?
とにかく、『旅したい。』ってのと同じくらい強く『店持ちたい。』って気持ちがあるんですよねぇ。何かしらのお店を、自分たちの力で出来る規模で。

ZINEは、これからも続けていきたいです。まぁ、ペースは少し鈍るかもしれないけど。

東京に出てきたときには、是非是非会いましょう!

とりあえずは『長野生活』楽しんできてください。

コメントを投稿





コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。