19 February, 11

「上海ベイベ。」

0219%20shanghai00.jpg


上海に着いた。AM11:30。メトロを乗継ぎ、事前に調べてあったHostelへ向かう。空模様は、どんよりと不吉な気配漂う濃灰色の『曇り』である。この空の先に何が待ち受けているのか、不安になるような、そんな雰囲気…。

0219%20shanghai01.jpg

そんな“気分”は遠からず間違いではなかったようで、最寄りのメトロ駅から1kmほど歩かされた末にたどり着いた宿が、何だかどうにもパッとしないのである。「Hidden Garden Youth Hostel」という名前のその宿、あまりにも「隠れ過ぎている」というか、全体的に『暗い』感じ。これは、この薄暗い天気のせいだけなのか…。カビ臭いドミ部屋(4人用)に荷物を降ろして、2人とも無言でベッドをメイクする。「…ここが、この旅最後の宿、なんだよね…。」

0219%20shanghai02.jpg

確かに、この長かった旅の最後を飾る宿にしては、ここは何だか物足りないような気がする。とはいえ今からこの部屋をキャンセルして荷物を背負って新しい宿探し…ってのは現実的じゃないから、「気を取り直してとりあえず外出し、街歩きの途中で他の宿もあたってみようよ。」…という風に、とにかく“気持ちの切り替え”を強調してみる。とにもかくにも、腹が減っているのがいけない。まずはメシ食って腹落ち着けないと、イイ考えも浮かんでこないし、気分も盛り上がってこないものである。

0219%20shanghai03.jpg

宿を出て狭く汚い路地を行き、大通りに出るとメトロ駅方面(右)へ歩く。すぐのところにある小さな安食堂で1人前11元(≒150円)の『肉団子定食(本当の名前は中国的で、覚えてない)』を頼んでみたところ、これが大正解、不思議なくらいに美味しかった。一緒に着いてくるスープとキムチも嬉しいが、何よりメインの肉団子がイイ。どうやって肉を固めたら、こんなに柔らかい団子が出来るのか…。食感フワフワ、肉汁ジュゥジュゥ。こりゃ、たまらん。

0219%20shanghai04.jpg

どうやら、街そのものとの相性はそれほど悪くないようだ。問題は、宿だけ。天気だって曇ってはいるけど、多分このくらいなら雨はまず降らないだろう。そうなれば、メトロに乗るのはとりあえずやめて、もう少し歩いて川辺まで行き、フェリー乗り場へ向かってみようか…。

0219%20shanghai05.jpg

フェリー乗り場は意外に遠くて、途中から寒さで手がかじかんでしまった。小さなフェリーの船内は暖かく、河を渡りながら身体を温めることが出来る。窓の外、遠ざかる岸辺にはいかにも上海らしい未来都市風の景色が広がっており、それは少しだけ2人の沈んだ気分を高揚させてくれた。そして、フェリーが対岸にたどり着くと、そこにはヨーロッパの古い町のような重厚で歴史を感じさせる石造りの建物が並んでいた。河辺りの遊歩道からそんな街並を眺めるのは楽しいが、ここでもとにかく、寒さがこたえる。

0219%20shanghai06.jpg

上海の人々にとっても、このヨーロッパ風の街並みというのはある種の“誇り”になっているらしい。夕陽に照らされた、もしくは夜、ライトアップされたこの街並の美しさを見る度に、「この町に住んでいて良かった。」と思える、そんな場所なのだという。

0219%20shanghai07.jpg

確かに、一見パンチのある対岸の『未来都市的』風景よりも、こちらの方が胸に沁み入ってくるような良さがあるというか、身体に馴染むサイズの街並である。それは掛け値なしに美しいが、そこからもやはり生活の匂いは全く漂ってこない。硬く、無機質な風景だ。

0219%20shanghai08.jpg

とある角を曲がり、この辺りで最も繁華な通りと、その周辺のエリアを歩く。高級ブランドの店舗が並び、新しいガラス張りの商業ビルには、UNIQLO(ユニクロ)の大きなロゴも浮かんでいる。ここでも、日本のブランドが元気であるらしい。

0219%20shanghai09.jpg

今日が土曜日であるせいかもしれないが、とにかくどこも人で溢れている。いくつもの買物袋を持つ人々の姿から想像される「旺盛な購買力」も印象的で、いちおう前出のユニクロにも入ったが、香港のそれとは比べものにならないくらいに店内は沢山の人出でごった返していた。

0219%20shanghai10.jpg

到着初日の、夜行列車移動の後にしては、今日は2人ともよく歩いたと思う。日暮れ後、ライトアップされた川沿いの美しい風景の中をそれでもさらに歩き続けながら、自分たちが「上海に辿り着いた」ということを、何となく人ごとの様に感じていた。遠い未来のことの様に思っていた瞬間が、今ここにあるのだ。ここから、日本へ。その日は…。

コメントを投稿





コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。