15 February, 11

「Destination。」

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昼間、鉄道駅に行って『上海行き』の寝台列車(Express)チケットを手配した。何故か窓口で「10%OFFだから…、467元ね。」ということになり、予想よりは少し割安で購入することが出来たのだが…あれって、何の“割引”だったんだろう…。

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移動は明後日。向かう上海は、この旅の最終滞在地になる予定の町である。だからかどうか分からないけど、『上海』という名前には、なにか2人の心を揺さぶるというか、切なくさせる響きがある。

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数ヶ月前、中国に来ることを決めた時点で「帰国は、上海からフェリーに乗って…ってのがいいかもね。」…と何となくだけど“決めて”いたから、金がないことは分かっていながら「とにかく、上海までは…。上海にさえ、たどり着ければ…。」なんて、念仏のように唱えつつ、ここまで無心に移動を、旅を続けてきたのである。

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帰国することで「嬉しい。」とか「楽しみ。」だと思える事も確かにいくつかはあるけれど、やっぱり旅が終わる事に対する「さみしさ。」や「悔しさ。」の方が今は大きい。まだまだ、行きたい場所や過ごしたい時間があるし、何かをやり遂げたという実感もないから…。

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しかし考えてみれば、いくら旅を続けてみたって、どこまでいっても「やり遂げた」「やり切った」という感覚は得られないものなのかもしれない。それは、「旅は人生に似ている。」という言葉からも想像出来ることでは、ある。

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旅を始めた最初の頃から、「こういう旅って、一体最後はどうやって終わりを迎えるものなんだろう。」という疑問はずっと心のどこかにあった。そして、長旅を続けた他の人々がどのように帰国を決心しているのかということに、興味を持ちながらも分からないまま、“終わりのない移動”を続けてきたのである。

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なのに、自分たちにとっての旅の終わりが純粋に資金不足によって訪れたという“不本意な”事実が、どうにも受け入れがたいというか、これで良かったのかなぁ、というか。今感じている『寂しさ』『悔しさ』は、そういうところから来ているのだと思う。
…とはいえ、そんなことを考えていても時計の針は確実に前に進んでいくのであり、そういう流れに押し出されるようにして、“この地点”までやってきたワケだ

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さて、今日はそのチケット購入の後に、再び香港島を訪れました。鉄道駅のある○○駅前から海底トンネルを抜けて「九龍⇒香港島」を行くバスが出ていて、今回は移動にそれを使ってみた。海底トンネルで魚が見える…わけじゃないけど、水の底を進んでいると思うだけで何となくワクワクするってのは、一体なんなんでしょうか(笑)。

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トンネルを抜けた先には「灰色の雲に覆われたビル群」が現れ、10分ほどで目的地に到着。それでも『トンネルを抜けた』という事実に何らかの価値があるらしくて、バスの値段も普段の倍ぐらいした。たしか、1人9HK$くらい。フェリーで渡れば2HK$なのに…。

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いくつかのショッピングモールを巡り、ビルからビルへと“出たり入ったり”を繰り返していたら、いつからか空が薄暗くなってきていた。ネオンの光に彩られた街の風景は、頭の中にちらつき始めた日本の、東京の風景にも重なってくる。そして、それは決して嫌な風景ではなくて、とても居心地の良い、心安まる風景でもあるのです。

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やっぱり、そういう風景の中で今まで育ってきた分だけ、ネオンの光とその光の中に垣間見える気配というか、感触がしっかりと身体に沁み込んでいるってことなのだろう。美しい自然や田舎も大好きだけど、都会もやっぱり好きなのである。

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そんなネオンに照らされながら華やいだ通りを歩くうち徐々に身体が冷えてきて、2人、頃合いを見計らったように「…そろそろ、帰ろっか。」ということになった。前から乗りたいと思っていた『Double Decker Trum(2階建トラム)』の2階席に座り、窓の外を過ぎていく風景をボンヤリ眺めながら、フェリーターミナルのある『Central』へと移動していく。

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PM6:00か、…PM7:00前くらいだったかな。ちょうど出勤時間帯だったから、トラムも街も、人でごった返していた。みんなしっかり働いているなぁ。
「仕事かぁ。(J)」「仕事ねぇ。(M)」…。

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夜の闇が濃くなるにつれて、町の光の鮮やかさも増していく。Centralのターミナルから九龍サイドへ渡るフェリーに乗り込んだ頃には、九龍・香港島の両サイドに建ち並ぶ巨大な“摩天楼”が、眩いほどのライトアップでオレンジ色に燃え盛っていた。

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燃え盛ると言ってもそこには勿論『温度』はないし、2人が座るスターフェリーの客席の後ろの方は囲いナシの“吹きさらし”だから、船内は外を歩いているのと同じくらい寒い。凍える身体を服の上から摩りつつ、数分間の航海を楽しむ。…はぁ、腹減ったなぁ…。

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