『　Introduction　』


...たとえば、「旅が人を変える。」...なんて、考えたことは1度だってない。
今の自分たちを変えよう（変えたい）と思って、この旅を始めたわけじゃないんだ。
だったら、なんでこんなにも長い旅を始めようと思ったのか...。
正直なところ、その質問には今でも上手く答えられないのである。

...

知りたい世界がそこにあって、旅立つチャンスが転がり込んできた...
最初は多分、そんな程度のことだったんじゃないかと思う。


でも、そんな風にして始まった２人の無計画な長旅の中、手にした物が何かしらあるとすれば、
それは、自分たちが住むこの世界の「広がり」と、「繋がっている」ということに対する“実感”。
たくさんの人々に出会い、様々な場所を渡り歩いてきた経験全てが、　
そんな世界と２人との「距離感」みたいなものを少しだけ縮めてくれたってのは、あるかもしれない...。

『　Concept　』

最初に旅を始めたとき、自分たちが３年半も旅を続けることになるとは、少しも考えていなかった。
「１年半くらいで地球を１周できたらいいな。」...そのくらいの、簡単でいいかげんな計画だったのだ。
でも、いざその「世界を舞台にした旅」にドップリとはまり込んでみたら、
そこで流れる時間も、空間の広がりも、旅立つ前に考えていたよりずっと雄大なものだった…。

　
地球を巡り、旅する時間として、３年半ってのは決して長いものなんかじゃない。

　
そういう、「地球の大きさ」であったり、旅の中での「時間の流れ方」を、
膨大な写真と少しの文章を使って、表現することが出来ないだろうか。　


「長旅をした人が作る名所ガイドブック」などではなく、「旅そのもの」を表現した本。


「国や町や場所」の魅力ではなく、もしくは大仰なアクシデント（武勇伝）のインパクトでもなく、
「旅そのもの」の、「旅すること」の、魅力や実情を伝える本。
匂い、色、音、味、感触…。それがあれば、写真や文章から“場所そのもの”が特定出来なくったって、
一向に構わないくらいなのだ。


それと同時に、長くて短い旅の日々、３年半の、本当の「量感」も感じさせられるものにしたい。
旅は、「細切れな思い出の集まり」なんかじゃなく、全てが繋がった”一連の流れ”なのだという、その感じ...。


そうして、最終的の最終的には、やっぱり「旅をすることのススメ」でありたいし、
読んだ人々に「旅したい！」って思ってもらえる本でありたい。
なにせ、自分たち自身が一番、「旅に出て良かった。」って、心から思っているのだから...。
目に見えるような教訓が無くったって、インパクトのある特別なアクシデントが無くったって、
誰の旅もそのひとつひとつが全て特別な、素敵なものだし、
とにかく、『旅は面白いんだ。』…って、伝えたいのは（伝えられそうなのは）、ただ、それだけ。


...今までの人生を振り返ってみて、そういう『旅感』を得られた本というのは、
そのほとんどが「活字主体」の出版物だった。
一方、写真を主体にした本の方は、あまりにガイドブック的だったり、雑学集的（バウ的！？）だったり、
または細切れな名所写真や名言の羅列だったり…。
自分だったら、見たいのは（読みたいのは）、買いたいのは、そういう本じゃない。…なんて。

　
とはいえ、今の自分たちには膨大な『旅写真』のストックがあるし、
さらには旅の中で更新し続けていた『ブログ』での経験からも、
活字離れした人々に対しての“写真のチカラ”を感じ続けていたから...。
「写真を使って、旅そのものを表現したい。」
“素人写真”であることに不安を感じながらもなお、そういう気持ちが強いのは、
多分、そんな理由によるのだろう。



まとめ。　→　　「　『写真を使った旅行記』　を作ろう。」
...それが今回、２人が掲げる思い（コンセプト）であり、　
自分たちが「本を出したい。」と考える理由の、大きな要素である…。