Agra（アグラー）発Jaipur（ジャイプル）行き。列車はAM6:15の出発予定だったが、結局2時間近くの遅れが出て、目的地へと到着した時には昼を随分と過ぎてしまっていた…。

Jaipur（ジャイプル）の駅で列車を降り、一歩その駅舎から外へと出た途端、もの凄く勢いのある若い客引きが2人に付きまとい始めた。どうやら彼は、自分の手配するオートリクシャで2人にホテルまで移動してもらいたいようなのだが、その彼の眼が何だか“怖く”て、声がやたらとウルサイ為に、最初の値段交渉すら全くする気になれないのである。
「リクシャはいらないから、後ろからついてくるのやめろって！いや、いらないって、リクシャは、ホントに。Good Bye！サヨナラ！！」

そんな風にして何度も断り続けるものの、例えば少し離れた道路脇で2人が流しのリクシャを拾おうとすると、どこからともなくそいつが再び横に現れ、2人の代わりに運転手と交渉を始めてしまうのである。「おい、まてまて、交渉はこっちでするんだから、勝手に横から入ってくるんじゃないよ、まったく！？ホントに、頼むから向う行っててくれって！君はどう見ても信用できないんだから。Bye Bye！アディオス！！」

…同じような事を、10回くらいは繰り返しただろうか。何でこいつは、こんなにしつこく2人にばかり付きまとってくるのか！？他にも旅行者はたくさんいるんだから、別の誰かを当たってくれればいいのに…。そんな思いを抱きながら、この進展のないやり取りを続けた末、結局は“流しのリクシャを拾うこと”も諦めて、近くの「貸し電話屋」に飛び込んだ。そこから目当てのホテルに電話して、送迎車の手配をすることにしたのである。

電話したのは、日本人旅行者にも人気の高い「Hotel Parl Palace」というBudget Hotel。この日、部屋は全て埋まってしまっていたものの、ドミトリーのベッドが2人分だけ空いているという話で、送迎の手配が無料だってこともあり、結局そこへの宿泊を決めた。
「今、ホテルから無料の送迎リクシャが来るから。もう客引きしても無駄だよ、無駄！お疲れさん。じゃね。」…こうして最初のウザい若造は何とか追い払う事が出来たが、その後も迎えを待っている間中、たくさんの客引きに声を掛けられ続けることに。
「おれがその、ホテルからの使いだよ。こっちだ、こっち。」
「じゃぁ、ウチらの名前しってんの？」
「名前！？…う～ん、聞き忘れたなぁ、それ。ちょっとホテルに確認してみるよ…。」
…なんて言って、結局そのあと戻って来なかったり。みんなウソつきで、ずる賢い。やっぱりここは、間違いなくインドだ。油断大敵。それに…、ひどく疲れる。

それでも最後には、きちんと2人の名前が書かれたボードを持って現れた「お迎えリクシャ」に無事、乗り込んで、何とか目当てのホテルにたどり着く事が出来た。キレイなドミ部屋と整った設備にも満足しながら、屋上テラスで少し遅めの“美味しいランチ”を楽しむ。ようやく、人心地がついた感じである。

そんなわけで、メシを食い終わった頃には日が暮れようかという時間帯になってしまい、この日は結局、町を探索することも出来ず。「じゃぁ、夜でもやってる“映画”でも観に行こうか！この町の映画館はなかなか立派で、有名みたいだし。」と、急遽決定した“インド映画観賞”という企画が思いのほかの“大成功”。

2人が観た「No Problem」という映画は、全編南アフリカロケによるインド人主演のインド映画で、場所柄、懐かしい風景もたくさん出てきた。コメディだからストーリーも非常に追いやすく、笑いの“ツボ”は、全世界共通。全体に、ガイ・リッチーの影響をもろに感じさせるテンポの速い現代劇で、“ダイヤモンドを奪い合う”という設定からして、完全に「スナッチ」のパクリ！？という感じも…。でも、お決まりの“ダンスシーン”なんかは、完全に「これぞインド」な迫力で、そういうシーンが始まる度に劇場内のインド人観客から「ヒューッ！！」「ワーォ！」みたいな大歓声が起こるのも、一緒に観てて何だか面白い。終わってみれば、今日という日が非常に充実したものに感じられたのでした。まぁ疲れたけど、基本的には「No Problem」な1日だったのかな…。