この1週間、いくつもの小さな村や町を通り抜けながらチベットという国を旅してきたが、やはり一番強く印象に残ったのは、最後に訪れたこのラサという大都市が持つ独特の宗教的な『力強さ』だったろう。ここには、世界のどこにもないような特別な雰囲気が、確かに存在している。

そしてそれと同時に、短い滞在期間の中で触れあったラサの人々の優しさと、町中を駆け回る子供たちの元気な姿もまた、目の裏に焼き付いているのである。そういう「人の記憶」が強く残る…ということを考えると、ラサはやはり未だ都会などではなく、1つの大きな田舎町であるのかもしれない。

しかし、町はスゴイ勢いで確実に“都会化”しているし、中国化している。だから、今こうして2人が見たラサも、例えば10年前のそれとは全く違っているのだろう。
それでも、今のラサやチベットに住む人々が仏教を信じる力の強さは、なお十分に感じられたし、そんな“仏教徒の”彼らの心の優しさも十分に感じる事が出来た。…冬に訪れてしまった事で強いられることになった「厳しすぎる寒さ」には心底参ったけど、それをも乗り越えて（！？）、またいつかもう一度、この町を、この国を訪れてみたいと思えた。
…多分その頃には、ラサはまた“別の町”になってしまっているのだろうけれど…。