「Driftwood。」
フェリーに乗って、ボスポラス海峡をユラユラ、プカプカ…。
海峡をはさんで、それぞれの陸地にいくつものエリアが分かれているイスタンブールでは、オーストラリアのシドニーと同じように、フェリーが市民にとって一般的な交通手段として使われている。
だから、料金もメトロやバスと同じでとても安く、観光フェリーに乗込まなくても、これだけで十分、「海から見るイスタンブール」を楽しむことが出来る。
夕方、柔らかい陽射しに包まれた旧市街や、海上のカモメたちを眺めているうち、あっという間にどこか対岸の町に到着することに。特にその場所に用がなければ、そのまま乗り続けて元の場所まで戻ってもいい。その間に見れる“景色”が目的なんだから…。
フェリーの上で飲むチャイは1杯0.5TL(≒30円)で、大抵のカフェなんかより安いのが嬉しい。イスタンブールの街中だと、安くて1TL、高いと2TLくらいはします。
冷たい風が吹く甲板の上で、温かいチャイをゆっくり飲みほした頃、また、ヨーロピアンサイドの、モスクや塔が並ぶ美しい風景が近づいてきた。
船内では、たくさんのカップルたちがそんな景色を楽しんでいる様子。
外でも、中でも…。
生活の中の交通手段が、こんなにもロマンチックだなんて。イスタンブールという町の持つ特別な魅力が、そこに暮らす人々の心を華やかにさせているのだろうか。
何度でも、いつまででも乗っていたい。そういう魅力が、この“渡し船”にはあります。