30 October, 10

「Ceremony。」

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富士ホテルに泊っているお客さんの中には年配の“ネパール熟練者”も多く、皆とても親切に「トレッキングの極意」や「ネパールの魅力・過し方」などについて物語ってくれる。

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今日、2人をカトマンドゥ近郊の村々へショートトリップに連れ出してくれた“福田さん”もまたそういう“達人”の1人で、「ネパールに通うこと十何年目…。」という78歳の現役男性登山家であった。

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北海道出身者らしい大らかで懐の深い話しぶりには、聴いていて妙な安心感がある。ネパールやヒンドゥー教の話から始まって、その他の宗教や日本史についてまで、様々なジャンルの知識を楽しく拝聴している内、いつの間にやら一行を載せたタクシーは目的地の村「ダクシンカリ」に到着していた。

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ここは、毎週火曜日と土曜日に「生贄の儀式」がおこなわれる事で知られる村で、その宗教的な“祭”行事を見学する為、外国人旅行者たちも頻繁に訪れているようである。

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問題の「生贄の儀」が行われている場所へと続く参道には、両サイドにギッシリと様々な種類の露店が並び、それは何処か日本の夏祭りなどと通じるような、懐かしい感じの風景であった。ただし、“わたがし”の代わりに地元のお菓子が並び、“金魚すくい”や“カラーひよこ”の代わりに生贄用の鶏や羊が売られているのを別にすれば…。

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楽しげな雰囲気すら流れるその参道を抜けると、その先の広場の両サイドに、花や鶏などを両手に持った人々の長い列が現れた。どうやらみな、この広場から階段を下りた所にある「式場」へ入る為の順番待ちをしているところらしい。

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その列のあまりの長さを前に、「これは、中に入るのは無理かな…。」と諦めかけていたところ、出口だとばかり思っていたもう一方の門側から、「見学者としての入場」が可能であるらしいことが分かった。村人たちの訝しげな顔に迎えられながら、長い階段を下って城内へと突入していく日本人3人。

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地面はどこも血の色に染まっているものの、どこでその血が流れ出しているのか、なかなか見つける事が出来ない。そうしてうろつき回った末にようやく見つけた儀式の場は思った以上に淡々とした雰囲気で、そこに漂っていたのは“神聖な気配”というより、“中華料理店の台所”のそれと言ってもいいくらいの、何とも「当たり前」な空気感なのであった。

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場内には西洋人旅行者の姿もチラホラと見る事が出来たが、場の中心で写真を撮り続けている彼らの事を、周囲の村人たちが特に気にしている様子も見受けられない。慣れているということなのか、それともその場に集中しきっているということなのか…。

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“生贄”を必要とするヒンドゥーの宗教的な考え方や“儀式そのもの”の意義については未だ詳しくは分からないですが、ネパールという国の在り方や人々の暮らしを知る上では、とても貴重な体験だったと思う。それにしても、その場でさばかれる鶏たちの肉付きを見て「美味しそう…。」と思ってしまったのは、やっぱり2人が“アフリカ帰り”だからなのかなぁ…(笑)。

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