「Abu Simbel。」
3000年以上の時を経て尚、その輝きを失わない巨大岩窟神殿「Abu Simbel(アブ・シンベル)」。ナセル湖のほとりに佇むこの巨大神殿はかつて、アスワンハイダムの建設によって水没の危機にさらされていたという…。
1970年、ドイツと旧ソ連の協力により完成したこのダムの造り出した人造湖「ナセル湖」は、その広大さゆえに、周辺に点在する数多くの遺跡群を水没の危機にさらすこととなった。そこでユネスコは、このアブシンベル神殿をはじめとした歴史的建造物の数々を救済するための国際的なキャンペーンを大々的に行い、結果的には“神殿を全1036個のブロックに切断し、元の位置より60m上にそっくりそのまま移動する”という方法をもって、この巨大神殿を水没の危機から救ったのである。
古代エジプト新王国時代第19王朝の王、ラメセス2世。その渾身の作と謳われるアブシンベル神殿は、エジプト観光における最大の見所の1つと言える。その巨大さは、まさに圧巻。正面に鎮座する4体のラメセス2世の巨像を見上げていると、「よくもまぁ、こんなバカデカイ“自分の像”を造ろうなんて考えたもんだなぁ…。」などと、感嘆とも呆れともつかないような感想が口から漏れてきてしまう。
内部は撮影禁止となっているため写真は1枚もないのだけれど、壁や柱に施されたレリーフはどれも見事な鮮明さで当時の生活を今に伝えてくれている。そして、カイロの考古学博物館でも目にした古代エジプト特有の神々の姿が、ここでも鮮やかに描かれている。
さらに、となりに寄り添うように佇む「アブシンベル小神殿」、も、やはり見事な造りである。因みにここ(アブ・シンベル)にはAswan(アスワン)のホテルで申し込んだツアーに参加する形で訪れたのだが、同じツアーに参加していた日本人の旅人“アツシくん”の話によれば、「Luxor(ルクソール)の遺跡群も見て来たけど、ここ(アブ・シンベル)がダントツで、イチバンだと思いますよ!」とのこと!?
それはとても素敵なことなんだけど、2人は、最初の遺跡見学でいきなりその“イチバン”を見てしまったわけで、これから先の遺跡巡りを思うと、少し不安になったりなんかして…(笑)。