“アブラハムの聖域”と呼ばれる、マクベラの洞窟の上に建てられた神殿の中へ。

ここはイスラム教徒にとってもユダヤ教徒にとっても“聖域”であるため、その上に建てられた神殿は両サイド2つのパートに分けられており、片方がイスラム寺院、もう片方はユダヤ教会として使用されている。

この日、2人がこの場所に到着したのがちょうどイスラム教徒にとっての礼拝の時間帯だったため、モスク（イスラム寺院）サイドは入場がストップされており、入るのに1時間ほど待たなければならなかった。

…なので、その時間を利用して、2人は先にユダヤ教会を見学したのだが、外観の巨大さとは裏腹に内部の“見学可能な空間”は非常に狭く、全体的に雑然としている。

それでも、そこに出入りする人々の姿やヘブライ語の書物などは2人の興味を十分に魅いたし、見ていて飽きる事はなかった。

それに比べると、後から入場したモスク側の内部は、ユダヤサイドより空間が格段に広々としている割に、見ていて興味を魅かれるようなモノは少なく、床に座ると怒られたりもしたものだから（たいていのモスクは、中で座ってゆっくりしてられるのに…）、何となく消化不良な感じで渋々と外に出る事になってしまった。

しかし、こうして同じ場所を聖地とする複数の宗教が互いにいがみ合っているというのは、部外者からすると何とも奇妙なものに思える。ちょっとした教義の違いが、何でこれ程複雑な、人々の命に関わる深い亀裂を生み出してしまうのか…。この場所の警備にあたる軍人さん（警察！？）たちの屈託のない笑顔を見ても、その表情を素直に受け取れない気分がありました…。