31 March, 09

「Dental Clinic。」

teeth0331%2000.jpg


朝から、どうしようもなく歯が疼く。
朝食のあと、いつものように2人で図書館へと行き、備付けのPCでFree Internetをしている間も、ズキズキと痛みが響いてくるような感じ。ダメだ、もう限界かな、これは…。

実際、左上の奥歯がちょっと悪いかもなと思い始めたはもう随分と前の話で、さらにはその手前の、以前治療して詰物を入れていた歯の、その“詰物”部分がとれてどこかにいってしまってからは、熱いものを食べても冷たいものを食べても、とにかく左上の歯周辺が沁みる…という状態に陥っていたのである。

teeth0331%2001.jpg

それでもここまで治療を受けに行くことに踏み切らなかった理由はというと、「虫歯治療には海外旅行保険が効かない」という、その1点によってのみであり…。デンタルクリニックを見かけるたびに「行こうか、どうしようか…。」と悩み続けていた結果が、こういう事態につながってしまったのである。今となっては、何も食べなくても、とにかく常に奥歯周辺がズキズキ、ウズウズ。自然と顔まで怖くなってしまう始末で、もちろん機嫌もすこぶる良くない。自分のためだけじゃなく、Mの為にもこれは診てもらう以外にないかな…。
そんなわけで、生まれて初めて「海外での歯科体験」をここオーストラリアにてしてきたわけなのである。場所は、宿から歩いて10分程のショッピングエリアの一画だ。

teeth0331%2002.jpg

「Busselton Highway Dental Clinic」という名のその歯科に入っていくと、まずは予約なしでいきなり診療してもらえるのかどうかを尋ねてみたのだが…
「予約は必要です。あいにく今日はどの時間も予約がいっぱいで…明日の昼過ぎであれば、今からでも予約する事が出来ますけれど、いかがしましょうか?」
この言葉にうなずける程、今の歯の状態は余裕のあるものではないわけで…何だかんだと受付の女性につたない英語で説明していると、
「じゃぁ、今とりあえず先生を呼んできますから、少しだけ状態を診ていただきましょうか…。」というところまで何とかこぎつけたのである。

teeth0331%2003.jpg

数分経って出てきたのは、30代半ばという感じの精悍な顔つきをした体格の良い男性医師。頼りがいのありそうな彼の風貌に、自然と期待を寄せてしまう。
聞かれるままにさっき受付女性に話したのと同じ状況を順序立てて説明すると、
「じゃぁ、ちょっと診療室で診てみましょうか。少ししたらこちらから名前を呼びますので。」と、優しく笑いかけてくれたのである。
良かった…これでとりあえず、この場で応急処置だけでもしてもらえるかもしれない。
そんな気持ちで診療室に入り、しばし先生が来るのを待つ。どうやら診療室は全て個室になっているようで、広々とした室内には見慣れた診療用の椅子が中央に1つだけ設置されていた。外観の古ぼけた印象とは違い、真っ白な治療空間は清潔感を漂わせ、天井に備え付けられた液晶TVからはミュージックビデオの音が静かに流れている。(天井のTVは、診療椅子を倒した時に丁度目線の位置にくるようにしてあるのだ。)

teeth0331%2004.jpg

5分程は1人でその場に待たされただろうか。看護婦さんを1人つれた先ほどの先生が診療室に入ってくると、椅子が倒されさっそく状況把握をし始めた…と思ったのだが、なにやら深く頷いたかと思うと、そのまま小さな注射器を取り出していきなり右奥歯周辺の歯茎に向かって一撃が加えられたのである。
おっ、何だ何だ!?…と思う間もなく、さらにもう一撃がその手前の歯茎に。みるみる感覚がマヒしてきたところからして、間違いなくこれは麻酔をされたということだろう。
ここまで、特に説明もなし。痛みを明日まで一時的に抑えるためのものなのか、それとも…!??様々な予測を頭の中で巡らしている内、日本でもお馴染みの、あの「シャー」という、小さな電動ヤスリ的機器の発する音が口の傍まで迫って来たのである。どうやら、既に治療が開始されてしまっているらしい。歯を少しだけ削り、医師がようやく発した言葉は…「どうです、痛みますか?」であった。

teeth0331%2005.jpg

「あっ、はい、少し…。」そう返事を返すと、さらにもう1本の麻酔注射が歯茎に打たれた。その後はもう、何も感じることなく“されるがまま”に治療作業を受け続ける。
そして、“削り”を終えて何やら歯の隙間に詰め込んだなぁ…と思うと、早々に固まったそいつを再びヤスリで削って整え、どうやらあっという間に全作業が終了した様なのである。
3本も麻酔を打たれたおかげで、左サイドのほっぺた周辺には全く感覚がない状態だ。口自体も上手く動かないくらいだが、とにかく痛みや不快感は消えたらしい。
「かなり深い虫歯でしたが、全て治療は完了しました。お大事に。」
そう言われてお礼を返し、待合室に戻ってみると、待っていたMがこちらを見ながら笑いだした。 「なに、その顔~(笑)。」

teeth0331%2006.jpg

鏡に向かって自分でもその“顔”を確認してみると…確かに、これはヘンテコである。
左頬にまったく力が入らないから、唇までがだらりと下に下がってしまって、懐かしの「美川憲一の真似をするコロッケ」みたいになってしまっている。
しかしそれはさて置き、問題の左上奥歯を覗いてみると、まるで何事もなかったかのように真っ白いキレイな歯が並んでいるのだ。あの短時間で、こんなに完璧に治ってしまうなんて…。日本の歯医者の、「じゃ、また来週きてください。」という何回にも分けた治療作業に慣れていた身には、驚くくらいの素早い処置である。
ただし、費用については、さすがに、さすがな感じ。保険もきかないしねぇ…250豪ドル(≒15000円)だって!?それって…、2人分の1週間の宿代と同じくらいじゃないっすか!??
…早く、しっかり働かなきゃなぁと、またまた気持を新たにさせられたのでした。

コメントを投稿





コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。