10 February, 09

「マヨネーズ。」

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AM10:00。2人を乗せたバスはRetiro(Buenos Airesのバスターミナル)に到着した。
Patagoniaを旅している時から「今、Buenosは湿気も高くて、とにかくめちゃくちゃ暑い。」という噂を耳にしていたが、バスを降りて外に出てみると、確かにこれまで過ごしてきた南の土地とは空気の質が違っている様である。

日本の夏を知っている2人にとってみたら“湿気”は大したことはないけれど、T-shit1枚でも汗ばんでくるような熱気が辺りを包み込んでいる。
荷物を受け取り、ターミナル室内へと移動すると、そこには冷房のヒンヤリとした空気…冷房なんて、一体いつ以来のことだろうか。
ターミナルの建物を抜けると、そこから数百メートル離れたメトロの駅へと移動する。歩きなれた道だけれど、少し歩いた辺りの路上で、いつもと違う“違和感”に襲われたのである。何だろう、どうも、歩く自分たちの足の間から、妙な液体がピュンピュン飛び跳ねているようなのだ。それに気がついて少し歩くスピードを緩め、足もと少し後ろあたりをそれとなく確認してみると…そこに着いていたのは、マスタードかマヨネーズか、とにかくそういう類のペースとなのであった。と思うや否や、後ろから変なおばちゃんが現れ、ティッシュでMのバックパックの汚れを拭ってくれようとする…これはもしや、かの有名な「マヨネーズ強盗」というやつなのではないだろうか!?

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それは、旅人たちの間でささやかれる話の中によく出てくる南米式窃盗手口の一つで、まず後ろからケチャップなりマヨネーズなりをターゲットとなる相手に掛け、それを拭う親切な人を演じながら相手の気をそらせているその隙に、別の仲間がそのターゲットの手荷物なりを奪って逃げるという、まぁ大まかにはそういう種類の窃盗なのである。
後ろから…マヨネーズ…その組み合わせにピンときた途端、Mが後ろの相手に「No,gracias!!」と声を張り上げ、そのまま2人で早足のまま地下鉄構内へと逃げ込んだ。
警察が警備している周辺に来てバックパックをひとまず降ろし、それを改めてよく見てみると、思っていたよりも大量の「マヨ」が、その表面に踊っていた。ヒドイな、これは…。
それでも、洋服とかじゃなくてバックパックに掛けられたことが、ある意味ではラッキーだったというか、2人にとっては良かった。これならすぐに拭きとってキレイに出来るし、ここからメトロで移動するのにもおかしな格好で車内に乗り込むことにはならなそうだから。だけど…
とても平和であったPatagoniaでの穏やかな日々を思うと、久しぶりに大都会Buenos Airesに帰ってきた初日にこういう手口を体験するというのは、何かの“警告”のように感じられたりしたのも事実。
「あんまり油断していると、危ない事が起こることもあるんだぞ。」って、神様が2人の気持ちを引き締め直してくれたんじゃないだろうか。
南米、最後の町、Buenos Aires。そこでの滞在第1日目は、こんな風にして不穏な空気の中で始まったのであった…。

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