08 February, 09

「森の中。」

barimori00.jpg


森の中を歩いていた。生い茂った木々の葉の間から、木漏れ日が土の大地に降り注いでいる。町で感じでいた暑さは、この木立の中では少し和らげられているようだ。

朝、昨日とおなじメニューの朝めしをキレイに平らげた2人は、そのまま最寄りのSuper Marketへ。お昼のお弁当になるパンとサラミ、クリームチーズを買い込んで、近郊にある日帰り用の手軽なトレッキング・ルートへと出かけたのであった。

barimori01.jpg

今日の“相手”は、Cerro Lopezという名の2000mそこそこの高度を持つ山で、小さな川辺からスタートするトレイルは片道約3時間、ということになっている。
昨日の夜、日帰りでトレッキングをするのにいい場所はないかと宿の女将に訊ねたところ、この山の名を教えてくれたのである。2人ともここにきて、膝がかなりやられてきていたから、そういう事も踏まえた上で、“手頃な山”を紹介してもらったのだ。

barimori02.jpg

町からは、No.10か11のバスを捕まえてやく1時間ほどの距離。 バスの本数は昨日のNo.20よりもさらに少なく、AM8:00のバスを逃した2人は結局、次のバスに乗るためにAM11:00まで待たなくてはならなかった。停留所には同じように長い時間そのバスを待ち続けた客たちが列を作っていて、ようやく来た路線バスの車内はまるで、平日の出勤時間帯の山手線のようになってしまっていた。途中で少しづつ空いてくるかとも思ったのだが、以外と誰も降りないから、結局最後までそんな“鮨詰め状態”のまま。山を歩く前から妙に疲れて、何だか気分も悪くなってしまったようだ…。
とはいえ、いざ自然の中に足を踏み入れると木と土の清々しい匂いが濁った気分を癒してくれて、逆に疲れも吹き飛んだ気がする。山には、何かそういう不思議な力がある。

barimori03.jpg

数十分も斜面を登ると、最初の見晴らしポイントに到達した。
ひらけた木々の向こう側に、いくつもの湖と、その周りを取り囲んだ山々の姿が見える。
息を整え、水を一口。斜面が思ったよりも急で、2人ともかなり息が切れてきていた。
坂の上からは、重い荷物を背負ったトレッカーたちが斜面を駆け下りるようにして下ってくるのが見える。荷物の大きさからして、彼らは山頂のRefugio(山小屋)に宿泊してきた帰りかもしれない。
それにしても、Barilocheの周囲に広がるこの豊かな大自然の風景は、ある意味では“幻想的”と言ってもいいくらいのものである。木々の緑の豊かさもそうだが、やはりこの湖の水の豊富さこそが、そのイメージを形作っているのであろう。
森の都であり、水の都でもあるこの場所の景観に、改めてしっかりと目を向け、そして耳を澄ます…。聴こえてくるのは遠くで流れる川の水音と、2人の呼吸をする音くらいだ。

barimori04.jpg

数分間の休憩の後に、2人は更に上へと向って歩き始めた。

barimori05.jpg

途中、休憩所の様な山小屋があり、そこからも素敵な眺望が楽しめるようになっている。山小屋はカフェにもなっているらしく、今まさに到着した店主が店を開けるところだったのだけれど、2人は手持ちの水で我慢してさらにひたすら上へと登り続ける事にした。
お楽しみは、やっぱり最後の目的地に到着した時までとっておいた方がいいだろう。途中で“お楽しみ”を味わってしまったら、最後までしっかり歩こうという“強い気持ち”が維持できないかもしれないし…。

コメントを投稿





コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。