29 January, 09

「曇りのち雨。」

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朝8:00、ターミナルを出発したバスはEl Chaltenへ向けてゆっくりと走り始めた。

空は少し曇りがちで、どんよりとしたグレーの雲がパタゴニアの大地を覆っている。
そんな空の下で快適なバスに揺られる2人は、寝不足気味の赤い眼をこすりながら今にも眠りに入ろうとしていたのだが…。
この赤目の原因になった“昨日の部屋”を思い出すと、何だか悪夢を思い出すような、嫌な気分になるのであった。問題は…2人の眠った“ベッド”なのである。
昼間、Jが療養のために昼間からベッドで横になっていると、どうも身体が痒い事に気が付いた。痒さを感じた二の腕のあたりを覗いてみると、蚊に刺されたような跡が…
「なんか、この部屋“蚊”がいるみたいだねぇ。」
そうMと話をしてはみたものの、気にしてみても特に「ブ~ン」と何かが飛んでいるような気配は全く感じない。なので、気にはなりつつも、あちこち痒いままにいつもと変わらない夜を迎え、電気を消して眠りについたのである。すると…
ハッと目覚めて気が付いてみると、さっき以上に体中が痒くて痒くてしょうがないのである!?何だ何だ、どうしたんだ、一体!??
電気をつけて、腕や足、首筋や頭の中を触ると、もうあっちこっちがボコボコにはれあがっているのである。もしやと思い、枕の下を覗いてみると、5mmくらいの体長の、小判型した茶色くて平たい虫が生息している事に気が付いた。思わず叩き殺してみると、そいつの体内から赤い血がドバッと溢れ出てきたではないか。これは、もしかして…噂には何度となく聞いていた「南京虫」というやつじゃないか!??
あわててMとベッド回りを調べてみると、どうも木のベッドのジョイントあたりからチョロチョロと顔を出している憎い“ヤツら”の姿を発見したのだ。
なんだよ、こいつら…こんなんじゃ眠るに眠れないじゃないか…。
仕方がないから電気を付けっぱなしにして、影をつくらないように毛布も掛けずに眠り始めたのだが、やはりここはパタゴニア、何も掛けないとちょっとやっぱり寒いものだ。
途中で寒さに耐えられなくなってふと毛布を掛けてしまったのだが、そうするとまたもや、足のあたりに“激痒感”を覚えたのである。慌てて毛布を剥がしてみると…やっぱり、いた!またもや、“ヤツ”である。憎さ余ってその場で潰すと、今度もやっぱり中から赤い血がドップリと出てきた。ダメだ、これはもう眠れないや…。
こういう場合、虫全般によく刺されるのはいつもJの方で、同じ場所にいてもMはあま
り刺されたりしない。今夜もMの首筋というか、枕もとあたりにもヤツらはしっかり生息していたが、結局Mが致命的に刺されるということはなかった。

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しかし、Jはもう本当にひどいもんで、しかもヤツらの刺し口ときたら、あとからあとから腫れがドンドン膨らんでくるのである。結局手の甲の部分なんて、自分の手じゃないような気がするくらいにデッカく膨れ上がってしまった。
「何かちょっと、ハンバーガーみたいだね(笑)。」楽しそうに言うM。
そんな甘っちょろいもんじゃないよ、これは!!痒いし、痛いし、こんなにボコボコ腫れちゃっているし…。風邪といい、南京虫といい、何だかカラファテとは相性が良くなかったような気がする。そんな、気持ちの中の“厄”を振り払うようにして、2人は次の町「El Chalten(チャルテン)」へと到着した。

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しかし、天気は午前中の“曇り”から、いまでは雨へと変わってきてしまった。
明日はFITZ ROY(フィッツロイ)へと2泊程のキャンプに出掛ける予定なのだが、果たして上手く天候が回復してくれるか、どうか…。
因みに今日の夜メシは、この町のスーパーで購入した「Chalten牛」とチーズリゾット。宿のキッチンは狭めだけれど、設備はわりと整っていて良い。肉も、美味し。チャルテン牛は値段も安いし、ここにいる間にまた、もう一回くらい食したいなぁ。

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