20 January, 09

「ムシエンジン。」

3%20gogo%2000.jpg


午後2時、「Refugio Paine Grande」から、「Campamento Italiano」に向けて出発した。

因みに「Refugio」というのは山小屋の様な宿泊施設で、この名を冠した場所にはレストランやらキオスクやら、何かと設備が整っている(勿論、キャンプも可能)。
逆に、「Campamento」というのはキャンプ専用の場所のことで、山小屋的な宿泊施設は特に用意されていないのである。

3%20gogo%2001.jpg

その「Campamento」の中でも、昨日までテントを張っていたGreyなんかは有料キャンプ場(1人3500ペソ…500円くらいかな。)なため、サイト内に小さなキオスクがあったり休憩用のロッジがあったりもしたが、本日の目的地「Campamento Italiano」は無料のキャンプサイトであり、だからトイレ関係以外には何にも設備がないような場所なのだ。
より“自然な”環境というわけである。
この、7.6kmの比較的平坦な道程では、視界の左側に常に「Cerro Paine Grande(パイネグランデ山)」の威容を拝み、右手にはNordenskjold湖の美しい水の色と周辺の山々の姿を眺めながら、気持よく山歩きを楽しんで進むことが出来る。

3%20gogo%2002.jpg

そんな素敵な山道であったが、ある地点から突然、その自然の姿が「驚異」に感じられる事態が起こり始めてしまったのである。いや、これは特に、“Mにとって”の話。
今までのGrey湖畔の道では全く見ることのなかったMの天敵:「毛虫」たちが、ここに来ていきなり、ボトボトと比較的大量に、道の真ん中にその姿を現してしまったのだ。
とにかくMは、毛虫や幼虫といった「足のないイモ虫系の虫」たちが大嫌い。
ゴキブリやクモなんかはJの代わりに叩き殺してくれるくらいのヘッチャラ加減なのであるが、こと「イモ虫系」に関するところでは、それこそ絵本のキャラクターやオモチャでさえも気持ち悪がって走り逃げてしまう程なのである(誇張ではなく、事実です)。
そんな“天敵”たちの思いがけない登場に、みるみる様子がおかしくなってきたM。

3%20gogo%2003.jpg

思いがけないといっても大自然を歩いているのだから、虫がいるのは予想可能な出来事ではあるのだが、「これだけ寒いとあんまり虫がいなくっていいねぇ。」などと余裕をかましていた矢先の“異変”なのであり、つまりは“心の準備”が全く出来ていなかったのだ。
「何なに、なんで突然こんなにヤツらが出てきちゃうの!??」
そんな驚異の道に限って、両サイドから低めの木々が迫り来るような細道で、通り抜けるたびに身体にひっかかる枝から“ヤツら”が飛び移ってくるんじゃないかととにかく怯えて泣き出しそうなM。
「どうしよう、どうしよう…。」

3%20gogo%2004.jpg

最初はそんな風にほぼ立ちどまって怯えまくっていたMだったが、ここまで来たからにはとにかく前に進むしかないという事を心の中で再認識するやいなや、これまでの2日と半日で見せていた動きからは想像もできないような驚異のスピードで、木々の間の恐怖の細道を荷物を担いだ姿で“走り”始めたのである!?
あまりの速度に、Jは全く追いつくことが出来ない。道がちょっと拓けたりするとその場でMが待っていてくれるから、基本的には一緒に進み続けている格好だが、いったん道が細くなってしまうとMのエンジンは急速に、加速度的にフル回転し始めてしまって、そうなるともう、Jは必死に手の伸ばしつつもMの後ろ姿を見送る事しか出来ないのだ。

3%20gogo%2005.jpg

普段、山歩きの時にはいつもMに前に立ってもらって、Mのペースで一緒に進み、Mのペースで一緒に休憩しているのだが、今回ばかりはその「一緒に」が出来ない。したくても、とにかくついていけないという…どこからあんなパワーが出てきているんだ!???

3%20gogo%2006.jpg

それでもJも必死に追いつこうと頑張るから、結果的には2人のペースはいつもよりも1.5倍くらい早くなっていて、思っていたよりも良いペースで前へ前へと進んでいく。
相変わらず道の両サイドの山と湖の風景は見事なのだが、Mにはもはや、その半分も見えてはいないだろう。だって、走り抜けながら
「半眼でいけばヤツらを見なくて済むハズ!半眼だ、半眼がいいや…。」
…なんて、何度も何度も呟いてたから(笑)。
半眼でよく、あの凸凹山道を“あのスピード”で進めるもんだなぁ…本当に不思議です。
とにかくそんな調子のままで、実際にはとても素敵なトレッキングルートを必要以上に足早にくぐり抜け、夕方前には無事にキャンプサイト「Italiano」に到着。
Mが“ヤツら”に襲われるような事も最後までなく、精神的には参ったようだけど肉体的には至って無事に、この長い1日を切り抜けることができた。
比較的ドライな地面にテントを設営し、荷物をその中にしまって一息つく。
そして夕食時には、いつもと同じ常備食の「ラーメン」作りがスタートする。
昼間の内にRefugioで卵を買っておくつもりが、忘れてしまって少し後悔…。でもビールはしっかり買ってきてたから、それで疲れを癒したのでした。
Mに着いた(!?)「虫菌」に対しての、「アルコール消毒」の意味も込めて。

3%20gogo%2007.jpg

コメントを投稿





コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。