11 January, 09

「記念日。」

ushulast06.jpg

暖かい部屋の心地よいベッドで、少し遅めの朝に目覚めた。
傾斜地に沿うようにして建てられた宿の客室は玄関ホールの階の下階になっているから、部屋の前から続く螺旋状の階段を上って玄関ホールと一続きになったダイニングルームに朝食を食べに行くことになる。
前日にだいたいの起床時間を宿の女主人に伝えてあるから、ダイニングには既にコーヒーカップや皿などが用意されていて、2人が席に着くと同時に暖かい紅茶(M)とコーヒー(J)が運ばれてくるのである。その後、数種類の暖められたパンとジャム類がテーブルの上に並ぶのだが…おっ、今日は昨日とはまた違ったHomemade Jamが並んでいるみたいだ。
聞いてみると、今日のジャムは“アプリコット”であるらしい。2人とも大好きなジャムの種類で、期待以上の美味しさだったから今日もやっぱり朝からガツガツとたくさん食べてしまった。
窓の外を見ると天気はあまり良くない様だけれど、灰色の雲を通して降り注ぐ柔らかい日差しが町や海を包みこんでいて、暖かい室内からみている分には、風景としてとても良い感じ。
食事を美味しく平らげた後には途中から同席したドイツ人カップルとそれぞれの今までの旅路について、あれやこれやと話をしたりして、そんなことをしてたらあっという間にもう、気がついた時にはお昼が近くなってきてる…。

ushulast01.jpg

今日はUshuaiaで過ごす最後の日だ。特に予定は決めていないけれど、とりあえずは「Museo del Fin del Mundo(世界最果て博物館)」に行ってみることにして、部屋に戻って支度を済ますと、カメラと少しのお金だけを持って宿を出た。あ、あとパスポートも。
いつもはパスポートは持ち歩かないのだけれど、今日行く博物館では最南端記念のハンコをパスポートに押してもらえるらしいから。
空にはどんよりとした雲が広がっていて、風はないけれど空気がいつもよりひんやりとしている。日曜日だから地元の人たちは家でゆっくりしてたりもするのだろうが、観光地であるだけに、通りにはカメラを首から下げたいかにもそれらしい人々が、いつもと同じようにそれぞれ団体をつくって騒がしく歩きまわっている。中心の繁華な通りは、そんな観光客目当てのお土産屋さんなんかがしっかりと店を開けていて、聞いていたよりは結構賑やかな感じがする。

ushulast02.jpg

そんな通りを何となくいそいそと通り過ぎて、2人は早速目当ての博物館へ。
Museo del Fin del Mundoは少し離れたブロックにある2つの建物からなっていて、どちらかで1枚のチケットを購入すれば、両方とも見る事ができるようになっている。
それぞれにUshuaiaやPatagonia、Tierra del Fuego(フエゴ島)の歴史や文化についての展示がされているのだが、今日はなんとなくそれらを詳しく見る気にもなれなくて、少し流し見るような感じで面白い民族衣装や可愛らしい昔の小物などを楽しんできた。

ushulast03.jpg

昔のこの辺りの風景を写した写真なんかも興味深く、海の町特有の風景が様々な角度から魅力的に切り取られていた。

ushulast04.jpg

展示を見終わると、Ushuaia初日に食事をした雰囲気の良いカフェに行き、美味しいコーヒーを飲みながら家族などに宛てたハガキを書いた。
それをそのままさっきの博物館に持って行くと、最南端ハンコやら切手をはってもらった状態でその場から郵送出来てしまうのだ。日曜日でも処理をしてくれるのが嬉しい。
透明なアクリル製の投函ボックスには既に沢山の絵葉書が放り込まれていて、それらは裏側にプリントされた世界の果ての美しい風景を様々な国の様々な家々へと運んで行くことになるのだろう。そんな事を想像しながらその箱の中に自分たちハガキを投げ込むと、何だかふと、サンフランシスコ(USA)から再スタートした2人の陸伝いの旅路も、遂にアメリカ大陸の最南端まで繋がってきたのだなぁと、感慨深い気持ちになってしまった。

ushulast00.jpg

明日にはこの町を出て、再び少しだけ北へと上がっていくことになる。
目指す次の町はPunta Arenas(プンタ・アレナス)。2人にとって初めてのチリの町だ。
そこではたくさんのペンギンたちが、2人の事を出迎えてくれるはずだけれど…。

コメントを投稿





コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。