08 January, 09

「氷の世界。」

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眼前に広がる氷河と湖を眺めながら、湖畔の岩に腰かけて昼食のサンドイッチを頬張る。
サンドイッチはパウロが用意してきたもので、Tour代金に含まれた“ランチボックス”だ。

町の旅行会社でTourにランチが付くと聞いた時、同時にベジタリアンかどうかを確認された事から、“ランチには肉が出るんだ”という事実を知って、2人は喜びを隠さなかった。
「ランチは暖かいメニューがいいなぁ。でも、結局ハムとチーズのサンドイッチとかだったりして…。だったらちょっと嫌だなぁ。暖かい肉がいいね、暖かいのが。」
なんて話していたのだが、結局ランチはドンピシャの“ハム&チーズサンドイッチ”であったのである。しかし、これが食べると十分に美味しい。
結局は、こういうシチュエーションで食べられる事が一番感動的なことであって、メニューが何であるかなんてのはそれ程問題じゃなかったみたいだ。これもまた、「山」の持つ偉大な力のひとつではないだろうか…。

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そんな美味しいサンドイッチランチを食べ終えた一行は、湖の左側を巻く様にして対面の氷河へと近づいていく。さっき遠くから見えた黒い小さな点のような穴が、次第に大きく見え始めてきた。そして、実際にその目の前まで近づいていってみると、穴は高さがちょうど大人の背丈くらいで、幅は3~4mくらい。
まずパウロが最初に中に入って「今日も安全である」ということを確かめ終えると、続いてTour参加者たちが1人づつ中へと突入していくことになった。
すると…。中で待ち受けていたのは、青い光に包まれた、文字通りの「氷の世界」。

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この青さは、外からの光が氷の厚みと水の色によって和らげられたものであるのだろうけど、外で見た氷河の表面の“汚さ”からは想像できないような素敵な色をしている。
いや、実際、外に出ている氷河の表面は、もうそりゃ相当に汚いのです。
もちろん、内部の雪や氷だって地面のそれは十分に“汚く”なってしまっているのだけれど、壁・天井にあたる氷の滑らかな曲線と光の色が、その空間の美しさを創り出してくれているのだ。本当にきれいだなぁ…。
しばらくそこでそれぞれに写真を撮ったりボ~っとしたりした後、一度そこから外に出てさらに別の穴から氷河の中へ入っていく。

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どれも結局、中では1つづきの空間になっているのだが、そうして別の角度から入っていくと、別の角度からの“美しさ”が見えてくるのである。
そこでもさらに、しばしの写真撮影タイム。
天井や壁の氷から解け出した水がたえず頭上に滴り落ちてきていて、こいつが首筋なんかに落ちてくると「冷てっ!?」っていうようなことにもなります。

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でも基本的には、風がないから氷の中ではあまり寒さを感じなかった。“かまくら”の中いいるようなイメージだろうか。
そうしていると、いつまででもそこに居て寛げそうな気もしてくけど、一応帰りの時間もあるので、頃合いを見ながらパウロが出発の合図を投げかけてくる。
ツララ状に水が滴り落ちる入口を抜けて、ここから再び、外の世界へ。

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灰色に薄汚れた氷河の斜面を歩きながら、今度は来た時とは別の方向へと真っ青な湖を廻り込んでいく。“氷の斜面を歩く”っていうと、何だかツルツル滑ってしまいそうな気がするけれど、実際には氷の表面はかなりガザガザとササクレだっていて、スニーカーを履いた2人でさえも簡単に歩くことが出来てしまう。滑らないようにと雪の上を歩いたりすると、逆に足をとられて歩きにくかったりするくらいである。

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そんなツルツルじゃないガザガザ氷河の上を無事に歩き切ると、そこからしばらくは雪上ウォーキングが続いて行く。傍らに見える静かな湖面がとても美しい。水はどこまでも透き通っていて、角度によっては底の石が丸見えだから「水がないんじゃないか」と勘違いしてしまいそうなくらいだ。

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そんな湖に張った氷の上の、20cmほど積もった雪の上を、大きな石を前に投げて“割れないか”を確認しながらゆっくりと前へ進んでいく。他にもルートはあるのだろうが、一行がビビってソロソロと歩く様をパウロが楽しんでいるようでもある。よく訊いたら年齢は“22歳”だっていうから、まだまだイタズラ心に溢れているんだろうなぁ(笑)。
ここから先は、来た道と別のルートで山を下っていく“帰り道”。同じ道を通らないあたりが、飽きさせない「上手い」演出ですねぇ。

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