06 January, 09

「南の果て。」

toushu%2000.jpg


昨日の夕方にコモドロリバダビアを出発したバスは、1夜明けた今日の早朝になってRio Gallegos(リオ・ガジェゴス)に到着した。
そして、バスを降りて外に出ると、今までにないような冷たい空気が服の間から入り込んでくる…。

toushu%2001.jpg

寒い。慌ててPatagoniaのウィンドブレーカーを羽織るが、それでも寒さを防ぎきれない。
バスの荷台から出てきた荷物を早々に背負うと、外気を逃れるようにして2人はターミナルの建物内へと移動することとなった。
ターミナル内はしっかりと暖房がかかっており、その中でセーターやスキーウェアーのようなジャケットを着ている人々の姿を眺めていると、まるで冬の雪山にいきなり迷い込んだような錯覚を覚えてしまう。ここからいよいよ本当の「パタゴニア地方」に突入したということか…あまりの変化に、身体がついていかないよ、これじゃ。
トイレの洗面所から出てくるお湯を使って、すっかり凍えた両手を暖め、乗り継ぎのバスの出発時間までのわずかな時間に全身の服装を変更する事になってしまった。
折りたたみ式のダウンジャケットもバックパックの奥から取り出し、ここに来てほぼフル装備の防寒対策である。今って、一応“夏”のハズだよなぁ…。
その後、AM8:30になってUshuaia(ウシュアイア)行きのバスが出発した。内部は古くて狭めな1層式のバスで、暖房が利くのにも少し時間がかかりそうだ。
それにしても、暖房か…ついこの前まで、バスではクーラーの効きが問題だったのにねぇ。
そんなバスでも一応順調に南へと進んでいき、数時間後には道中に立ちはだかるチリとの国境の一つを越えた。2人にとっては、ここで初めての「チリ入国」である。
そこからさらにしばらく走ると、今度は目の前に大きな河のような流れが見えてくる。しかしこれは河ではなく、れっきとした“海”の一部。これが、かの有名な「マゼラン海峡」というやつなのだろう。

toushu%2002.jpg

バスはここで専用の渡し船に収納され、そのまま車ごと対岸へと渡っていく。乗客は船内にて一度バスから降り、舟の甲板で景色を楽しみながら過ごすことになるのだが、この辺りは何だかやたらと風が強くて、それも相当に冷たい風だから10分もいると凍えるほど身体が冷えてきてしまう。船にも一応「船室」が用意されているから、その後はもっぱらそっちで到着までの時間を過ごすことになった。
出港してから20分程で船は対岸の船着場へ到着。乗客は再びバスへと乗り込み、何もないい平原と羊たちの放牧された風景がどこまでも続く、美しいPatagoniaの大地をひたすら南へ進んでいく。道はここに来てますます“自然な”感じになってきていて、バスが走る速度もずいぶんゆっくりになっているようだ。こんな調子で、本当に12時間以内にウシュアイアまで辿り着くのだろうか…。
マゼラン海峡を越えてからさらに数時間が経過した頃、バスは再び国境をまたいでアルゼンチンへと再入国。数か月前にボリビアから入国したのを最初に、これで4度目のアルゼンチン入国である。いいかげん、日本のスタンプよりアルゼンチンのスタンプの方が多くなってきてしまった(笑)。今後もまだまだ増える予定です。

toushu%2004.jpg

アルゼンチンへと再入国した後は道が幾分走り易くなってきたようで、バスの速度も徐々に上がって来た。とはいえ全行程の半分ほど(地図的に)を残したこの時点で予定の到着時間まではわずかに3時間余り。これは、到着は間違いなく遅れそうだよな…。
窓の外には、枯れて白くなった木々の“ぶっ倒れた”姿が続く、何とも不思議な雰囲気の森が広がっている。酸性雨か何かのせいだろうか…こういう風景を見ながら走っていると、いかにも“世界の果て”に向かっているような気分になってくる。サンフランシスコからスタートした今回の南北アメリカ大陸をまたぐ旅路も、遂にここまでやって来たのだ。

toushu%2003.jpg

そんな大地を途中にいくつかの小さな町に寄りながら走り抜け、バスが最終的にウシュアイアの町に着いた時には出発してから14時間近くが経過してしまっていた。
時刻は10時になろうかというところだが、空はまだ太陽の光を失ってはいなくて、ちょうど“夕暮れ時”といった様相だ。雲に滲んだ夕日の赤色がとてもキレイ。
それにしても、腹が減ったな。眠りに就く前にちょっと何かを腹に入れたいけど、こんな時間でも食事を食わせてくれるところが果たしてあるのかどうか…。

toushu%2005.jpg

コメントを投稿





コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。