05 January, 09

「丘を降りる方法。」

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コモドロで過ごす最後の午後。
夕方6:00にはウシュアイア行きのバスに乗る予定だから、時間的にも遠くに行くにはまぁ中途半間なので、結局今日1日はコモドロの町周辺を巡る事にした。

町の北側に、大きな砂山とでもいうような丘がある。その丘の上にミラドール(展望台)があって、そこからの眺めが結構良いらしいと聞き、まずはそこへと向かう事に。
丘は正面から見るとかなり急勾配なつくりになっていて、逆に言うとてっぺんまではそんなに遠くないようにも見える。ただ、砂山的な丘のそんな急勾配なところに登り口があるはずもなく、歩いて上まで登るためには裏手からかなりの距離を廻り込まなくてはならないらしい。仕方無い、とりあえずまだ時間はあるし、天気もいいから“散歩”しますか。

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丘の裏手に回り込んでいく道は、途中まで海沿いに走る道路脇を歩くことになる。海は良く晴れた空を映してキレイな青色に染まっており、波打ち際に広がる小さなビーチでは泳いでいる人もいるらしい。いくら天気が良いとはいえ、泳ぐにはすこし気温が低すぎるような気もするけれど…。感覚的には、長袖を着ていると暑いけれど、半袖になるには寒いかなという気候なのである。日本でいえば、春先の良く晴れた日、という感じか。
そんな中でも、こっちの人は泳いじゃうんだなぁ。きっと、ああやって短い“夏”を彼らなりに満喫しているのだろう。
そんな海沿いの道を抜けると、丘の後ろ側が見え始めてくる。そこは町に面した側よりもなだらかなスロープになっていて、海側から分岐した車道が上へと続いている。
歩く人々は、その車道の脇を通っていく事になるのだけれど、今日はどうやら2人のほかにはここを歩いている人はいないみたいだ。時折通り抜ける車の音が遠ざかってしまうと、あとはもう、吹きぬける風の音しか聞こえてこない。
晴れた空の下での散歩は、なんだかとても気持ちが良い。ここでも太陽は結構強烈で、歩き続けているとジワジワと脇の辺りが汗ばんでくるのを感じるくらいだ。
そんな、砂埃の舞うなだらかなスロープをゆっくりと時間をかけて登り切ると、前方に見晴らし台の様な開けた場所が見えてきた。最後は少し小走りになりながら、2人で一緒にその場所へと急いで行く。そして…

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上から眺める、コモドロリバダビアの町と海。
そこからさらに丘を登ると、てっぺんからは北側と南側、両方の海と町の姿を見下ろすことができたのである。向こうの空に雲が見えているのが少し気になるが、それでもこれは、やはり絶景だ。他に誰もいない丘の上で、この風景の中の世界を2人が独占している気分。
ちょっと長めな“散歩道”だったけれど、これはやっぱり来て良かったなぁ。

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さて、この日の問題は、ここまでの“のんびりとした”丘登りの道のりではなくて、登った丘から“下る”方の道のりについて。
「また来た道を逆に歩いて行くのは、時間も掛かるしちょっと億劫だねぇ。」
そんな話を2人でしていた折、ちょうど後からその丘を登って来た地元民風の少年に
「他にここから降りる道ってないの?」
と、軽く訊ねてみたところ、
「どこへ降りたいの?えっ、ビーチ?それなら、俺の後についておいでよ!」
と、嬉しい返事を返してくれたのだ。

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なんだ、やっぱり近道があるんだ。…そう思った2人は何も考えずに彼の進む方向へと歩いていったのであるが…崖上になった急斜面の先端まで来ると、なんとそこから先は砂の急勾配を滑りながら駆け下りていったではないですか!??
こっちはそれこそちょっと大きめなトートバックを抱えているのに、何、教えてくれる近道って、ここを滑り下りるって事なの!???
手ぶらでスニーカーを履いていればまだしも、Jに至っては今日は革サンダルで来ていたのである。ちょっとツルっと滑ったりした日には…なんて考えて心の中で少しビビりながらも、表面上は余裕な振りして「よっしゃ、そんじゃ、降りますか、ここを…。」
と、2人でゆっくりと滑り降り始める事に。
砂は砂漠のように足がめり込む感じで、降り始めてみると以外にすいすいと進んでいく事が出来る。しかし、本当の砂漠と違って砂の間には石がたくさん混じっており、サンダルや靴の間からそいつらがドシドシと侵入してきて歩くたびに足が何だかとても痛い!?
そして、やっぱり荷物が邪魔だなぁ…。
そんな2人の気持ちを知ってか知らずか、前を行く地元少年は走るような勢いでどんどん先に下へと降りて行ってしまう。途中まで来るともう2人も引き返すことすらできないもんだから、あとはとにかく下へ向って進むしかないし…。
「おぅ!?」とか「わぉ!!」なんて奇声を発しつつ、それでも何とか無事に下まで降りる事が出来た。所要時間は、なんと10分ほど!
来た時には1時間以上掛っていたから、これは確かに「近道」ではあった。
ただ、疲れは結局「往路」以上であったかもしれないです。体中が“砂埃まみれ”だし、まったく、今日の夜にはそのまま夜行バスに乗るってのに…。
色々ブツブツと言いたくもなるけど、何だかんだで何やら妙に楽しかったのも事実。
今日も充実した1日を送れたし、「化石の森」の失敗も含めて、今ではもう何も後悔することなく、次のウシュアイアへ向かえる気がする、かな。

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