18 January, 09

「Parque Nacional Torres del Paine。」

paine1%2000.jpg


パイネ国立公園、トレッキング生活1日目。
AM6:30にセットしておいたアラーム時計の音で目覚めると、やはり同じように早起きをした宿主が作ってくれた、パンと炒り卵の簡単な朝食を平らげる。

天気は、曇り。遠くの空には青空も見えるが、基本的に雲がかなり多めである。
国立公園までの移動手段は通常、Puerto Natalesの町から毎日出ているシャトルバスを利用することになる。出発時間はAM7:30とPM2:00の2本だが、一般的には朝の便を利用するのがまぁ、普通であり、世界各国から集まってくるトレッキング客の約95%はこの便で毎朝「パイネ国立公園」へ運ばれていくということになっている。
バス会社は多数あるが、この辺りの宿はたいていその宿毎に“馴染みのバス会社”を持っているから、自分が停まった宿によって利用するバスも変わってくるという感じだ。しかし、どの会社のバスを利用するにしても、出発時間と到着時間は全く寸分変わらず同じだから、どの会社だろうと別に何も問題はないということらしい。
2人もまたその例に洩れず、昨日の内に宿で手配しておいたAM7:30発のバス用のチケットを握りしめて、宿に迎えに来るというその車の到着を待つ。
そして、宿の前に小さめなミニバスが停まったのは、ほぼ時間通りのAM7:35。
昨夜パッキングしておいたバックパックを背中に担ぐと、これから訪れることになるパタゴニアの大自然に期待をたっぷりと膨らませながら、前方の見晴らしの良いシートに腰をおろした。パイネまでは、ここから約3時間の道のりだ。

paine1%2001.jpg

途中にお土産屋的な休憩所に立ち寄ったりしながら、ここでもやはりほぼ時間通りにバスは国立公園入口へと到着。入口前には既に他のバス会社のバスが数台列を作っていて、前のバスの乗客から順番に入場受付にて“チケット購入”を済ませている。2人もそこでバスを降り、施設内のトイレを借りたり周辺の景色を写真におさめたりしながら、自分たちの順番が来るのをしばらく待つことになった。
この辺りまで来ると、既にパイネの“主峰”たちが眼前に見え始めてきているのだが、中でも最も有名な「Torres del Paine」は、雲の中に隠れてしまっている。
まぁ、それはこれからトレッキングをしながら見て行けばいいことだから、今ここで見えなくてもそんなに残念な感じはしなかったが。

paine1%2002.jpg

そうこうしている内に順番がきて、1人15000ペソの入場料金を支払う。名前やパスポート番号を書き込むカードの、「園内での予定ルート」という欄には、もちろん「W」としっかり記入した。予定したような5泊6日になるかどうかは分からないけれど、とにかく2人ともやる気だけは十分なのだ。
さて、今回2人が挑戦する「W(ダブリュー)」というトレッキングルートだが、これはその名前が示す通り、アルファベットの「W」に似た道順をたどりながら公園内の名所を巡っていくルートになっている。

paine1.jpg

地図でいえば、右上の緑の四角が書かれている場所がパイネの象徴“Torres del Paine”に近いキャンプサイト「Campamento Torres」で、そこから南に降りたところにある大きな湖「Lago Nordenskjold」付近の黒い四角が、最も標準的なトレッキング開始場所「Hosteria Los Torres」(国立公園入口に最も近い)。
湖沿いを西に進むと再び緑の四角で示されたキャンプサイト「Italiano」があり、そこから北に、両サイドに迫る山々の谷間を登って行くルートが「Valle del Frances」という、パイネでも最も人気のある景観の良いトレッキング場所になっている。
Italianoに戻って更に湖沿いを西へ進んだ“湖と湖の間”的な場所にある黒い四角で示された西側ルートの起点となるキャンプは、宿泊施設やレストランも兼ねた「Paine Grande」。
左側に上下に細長く伸びた湖「Lago Gray」沿いにそこから北へと進んでいくと、つきあたりにデカデカと示された巨大氷河「Glaciar Gray」が控えているというわけである。
これらのいわゆる“おススメスポット”を、道を重複しながらも「W」を描きながらトレックしていくというのが、今回2人がチャレンジするルートなのであるが、開始場所については一般的な東側(公園入口近く)からではなく、さらに奥に行った西の起点「Paine Grande」から。これは、「Erratic Rock」の講義で教わったおススメの巡り方でもある。
今日、午前中の内にバスとフェリーを乗り継いでまずはそこまで移動してしまい、午後、そこから北に位置する「Glaciar Gray(グレイ氷河)」を目指す予定だ。

paine1%2003.jpg

そんなわけで、入場料を支払った後もそのままバスに乗り続け、その後湖を渡る為に小さなフェリー(11000ペソ/1人片道)に乗り換える。
この“渡し船”は正午発の後にはPM6:00までないから、この時間の便にものすごい数のトレッカーたちが大挙して乗り込むことになる。だから、船内の荷物置き場なんか、もう、何だかわけ分からないくらいにこんな感じでバックパックが溢れちゃって、まぁ(笑)。

paine1%2004.jpg

風はそれ程強くはなく、湖の水面はいたって穏やか。風の強い日には「今まで経験したことのないくらいの荒波in湖」を体験することになると聞いていたが、今日はその日ではなかったらしい。相変らず曇ってはいるが、遠くに見える山々の、雪と氷河を頂いた姿が美しい。

paine1%2005.jpg

約30分の乗船時間の後、2人は順調に「Paine Grande」に到着した。ここからいよいよ、本格的にトレッキングがスタートである。
バッグにテントや寝袋・数日分の食料などを入れた状態で山を歩くのは2人とも初めてだから、何だか少し緊張感がある。
それでも目の前に広がる大自然の姿は文句なしに素晴らしくって、それに釣られるようなカタチで2人はその第一歩を踏み出していったのであった。
天気は、1日目からいきなり“荒れた”。
荒れたといっても常に雨風が降り続けているというような意味ではなくて、とにかく“変わり易い”のである。今、頭上に晴れ間がようやく広がってきたかと思うと5分後にはどんよりと厚い雲が空を隠し、その後にドバッと雨がふったかと思うと、10分後にはまた晴れているという感じ。その合間合間には物凄い強風がいきなり吹いてきたりなんかもして、忙しいったらないのである。ただ、常に雨が降っている訳じゃない分、濡れた服が乾くのもまた、早い。ドバッと降った雨が前からの風で服の前面をビショビショに濡らしたかと思うと、次の瞬間に出てきた太陽がそれをすぐに乾かしてくれる。風が強く、空気が乾燥していることも、乾きの早い理由かもしれない。

paine1%2006.jpg

このルートの自然も素晴らしいのだけれど、この日に限ってはその自然よりも、これぞパタゴニア、これこそパイネ、というようなこの天候の方に驚かされてしまった感じだ。
しかし、それでも尚、荷物を背負ってのトレッキングについては「意外と歩けるな」という感触を2人とも掴むことができた。これまでの旅の経験が生きてるのかな、これは。
69レイクも辛かったし、マチュピチュのトレイルもキツかったし…。
Glaciar Grey(グレイ氷河)までは、地図によれば約11kmの道のり。所要3.5時間と書いてあるが、天気の影響や途中の絶景ポイントで何度も休んだこともあってか、結果的には2人は4時間くらいをかけて歩いた。
キャンプサイト「Refugio Grey」に到着したのは、午後5時を少し過ぎた頃。日が長いから、日没までにはこれからまだだいぶ時間がある。このあたり、時間に焦らされずにマイペースでトレッキングする事が出来るのが“山 初心者”の2人には嬉しい。

paine1%2007.jpg

テントを張って荷物を中にしまい、目の前のLago Grey(グレイ湖)を眺める。名前の通り、湖の水はちょっと白っぽい灰色をしている。
その上には、Glaciar Greyから流れてきたであろう流氷の姿が…。ここから10分くらい奥にいったところに、Glaciarを望める「View Point」があるらしいから、少し休んだらそっちに行ってみようか。どうせ、日が暮れるのはPM10:00くらいなんだろうから…。

paine1%2008.jpg

コメントを投稿





コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。