21 January, 09

「Miradorの向こう。」

4%20ue%2000.jpg


今日は、朝の早い時間帯を除いて常に曇りがちな天気だが、ここまで雨が降る事は一度もなく、風も穏やかで、比較的“安定した”気候具合である。

さっきブラウニーを“おやつ”にしてコーヒーを飲んだ地点から、ものの20分も歩かない内に2人は目当てのMirador(ミラドール)らしき場所に出た。高台になった丘の上に、大きな岩がドカンと居座っていて、訪れた人々はみな、この岩の上で休みながら周りの素晴らしい風景を眺めて歓談している。
2人もその岩の上に腰かけ、来た道を思いながら達成感に浸ろうとしていたら…そこから更に先の方向に、細く続く別の道がある事に気が付いた。
歩いている人はあまり多くはないが、その道は数百メートル先で、山から急斜面に沿って流れおちる小さな川にぶち当たっており、そこから先はもう道などなく、行く人は川沿いの岩を手掛かりとしながら更に上へと登っていっているようなのだ。
あんな道が、まだ先には伸びていってるんだ…。ようやく“到達”したと思ったのに、その道の存在を知って、2人の欲張り根性がまた沸々と再燃してきてしまったのである。
「あれも、やっぱり登っておいた方がいいんじゃない?」
言い放つM。時間は既に2時近くになっているから、これからあそこにも登ったとしたらキャンプへの帰りは5時を過ぎる事になるだろう。今日はそこから更に、5.5km東にあるキャンプ地「Refugio & Campamento Los Cuernos」まで移動するつもりなのだが…。
まあいいか、その辺はもう、どうにだってなるようになるだろう!?
2人とも“行けるとこまでは行っちゃいたい主義”だから、そういう気持ちになってしまったら止めようという気には決してならないのである。

4%20ue%2001.jpg

結局、そこのMiradorらしき岩場では5分くらい休憩しただけで、2人はそのまま更に先へと歩き始めてしまうことになった。
このあたりじゃ、これまでの道にあったような案内表示(トレックルートには数メートルおきに木にペンキが塗ってあったりする)などもなく、ひたすら自分たちが納得する地点まで“上”を目指して歩き進むのみ。
先ほどのMiradorから見えていたとおり、道は途中で急斜面の河原にぶつかっていた。この斜面が遠くから見ていたよりもずっと“急”な勾配をしていて、岩場なんかはまだいいけれど、砂地の場所だと足が「ズズズッ」と横滑りしてしまう。
そんな不安定な足場を慎重にゆっくりと、1歩1歩“上”へ向って進み続け、ようやく河原を逸れたところで緑の道に出たか…と思ったら、今度は木々が邪魔してなかなか上へのルートが見つけられなくなってしまった!?足の下には所々にぬかるみや水たまりがあり、足を取られないようにしてここでも慎重に、ゆっくりと進んでいく。

4%20ue%2002.jpg

それにしても、この水溜りの水がまた、どうにもキレイな色をしている。完全に透明なその水に映る、苔むした周囲の岩場や木々の鮮やかな“色”に見惚れる。
緑なような、黄色っぽいような、場所によっては赤っぽくもある微妙な色彩の風景を、その透明な水は様々な角度から映し出しているのである。水の色っていうのは、結局周りの自然の色なのだろう。キレイな自然のある場所には綺麗な水が流れるし、汚い場所には汚い水が流れる。そういうものだ。

4%20ue%2003.jpg

周囲には灰色の岩山が広がり、そこに至ってはもう、自分たちを取り囲む世界に何の色味も感じることができない。
ただ、眼下に見える風景の見事さには改めて「ゴクリ」と唾を飲み込んでしまう。
周りには誰もいなくて、この瞬間、ただ2人だけが、その場所から見える素晴らしき大自然の創り出した風景を独占しているのだ。

4%20ue%2004.jpg

誰の声も、動物の鳴き声さえ聞こえない。そんな孤立無援な場所にあって、吹きすさぶ風だけは絶えず耳のすぐ傍で「ボウボウ」という音を響かせている。
何だか、ちょっと寒くなってきたかな。

4%20ue%2005.jpg

結局はいつもこの「寒さ」によって、その場を移動する決意をしている気がする。
そうじゃなかったら、いつまでだって眺め続けていたいような景色ばかりだから、それはそれで前へ進むためにはいい事なのかもしれないが。

4%20ue%2006.jpg

枯れ木の森や、緑の木々のおい茂る間を少し早足でキャンプ地へと向かう。天気は相変わらず曇りがちだが、今日はどうやら雨にはならなそうだ。いつもに比べると風がないから雲の動きも少ないし、遠くの空にはきれいな青空も顔を覗かせている。

4%20ue%2007.jpg

帰りはほとんど下り道だから、来た時に比べるとだいぶ歩行時間は短縮する事ができた。でも、それじゃあ下りはとにかく「楽」だと言えるのかというと、一概にそうとは言えないような気もするのである。
とにかく降りる時の筋肉(2人は“降り筋”と呼んでる)って、いつもあんまり使わないところだから、後々筋肉痛になるっていうと、大抵いつもこの“降り筋”なのである。
そして、それと同時にやっぱり一番は、ヒザ。
長い下りを歩き続けると、膝が次第に軋むように悲鳴を上げ始める。こういうとき、スティックを持って歩いているとやっぱり良いのだろうなぁと、しみじみ感じたりもした。
キャンプ地に戻ったのは、4時半を少し廻った頃だったろうか。
ガスに火をつけ、お湯を沸かし、スープをつくってテントの傍で一息入れる。
予定ではここから東へ5.5km、荷物をまとめて更に歩くつもりなのだけれど…。

コメントを投稿





コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。