21 January, 09

「Life is …。」

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Valle del Francesを歩き、キャンプ地に戻ってきた時にはもう動くのが面倒な気もしたのだけれど、2人とも以外とまだ、身体の中に“元気”が残っていたらしい。結局は予定通りに次のキャンプ地へと向かう事にした。

暖かいスープを一気に飲み干すと、寝袋やテントを畳んでバッグの中に詰め直し、5時を過ぎたことを確認しつつ東へ向けて歩き始めた。
本当に何度も言うが、日が長いからこそこういう出発ができるのである。
2人とも歩くのが特に早い方じゃないから、1日の長さには常に助けられている気がする。

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これでたとえば8時に向こうに到着したとしても、そこからテントを張って夕食を作って、それでもまだ日が暮れないくらいの余裕があるのだ。
だからこそ、結局はそういう「夕暮れ時間」を気にする事なく、自分たちの体力だけを推し量って“次の行動”を決定する事が出来る。一日中、全力でこの素晴らしい大自然を満喫するのには、とにかく“もってこい”の環境である。
ItalianoからLos Cuernosまでの道のりは、Nordenskjold湖に沿って敷かれた湖畔のトレックルートを行くことになる。これがまた、とっても長閑で素敵な道なのだが、標高が低いエリアだからだろうか、やっぱり“ヤツら(毛虫たち)”はここでもウジャウジャと“たむろ”しているみたい。
Mはやはり怯えているが、昨日ほどには動揺していないようにも見える。昨日の今日で、それでもどうやらそれなりに「心の準備」をしていたらしい。
「やつらは、向こうから襲って来る訳じゃない。ただ、見た目が気持ち悪いだけだから…。」
そう何度も自分の心に言い聞かせて、何とか前へと進み続けている様である。
頑張ってるなぁ、M。でも、この大自然の素晴らしい風景と、トレッキングやキャンプ生活の「楽しさ」に魅せられてしまったからこそ、こうして頑張れてもいるのだろう。

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確かにここでの毎日は、ただ単純に「楽しい」と思える。
歩くことも、テントで自炊しながら生活することも、実際こんなに楽しいとは出発前は考えていなかった。もう少し、辛いと感じる場面もあるかなぁ、なんて思ってた。
でも…この、とにかく歩いて歩いて歩きまくっている4日間を通して感じるのは、
「山ってこんなに魅力的だったんだなぁ。」というような、とにかくどこまでも“プラス”のイメージばかりなのである。
「こんな素敵な山の中でなら、イモ虫くらい、頑張って我慢してやろうじゃないですか!」
Mにとっては、そんな気持ちだったのかもしれない。

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さて、そんな野の道をしばらく行くと、いつの間にやら自分たちが、目の前の湖の水と同じレベル(標高というか、地形的に、です)に降りてきている事に気が付いた。
そして、目の前の草むらをかき分けて水際の方へと進んでいくと…なんと、こんな風(写真)に湖畔一面に“玉砂利”の敷き詰められた、素晴らしく気持のよい“水辺の休息地”に出くわすことになったのだ。タイミング的な問題だろうか、周りには誰もいなくて、ここでも2人はその「砂利浜」を完全に貸切ってしまったような気分。物を砂利の上に降ろすと、その場に倒れこむようにして、2人でゴロリと寝転がった。

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玉石を目の前の湖に投げ入れた時の、「デュボンッ」という音が気持ちいい。
ここまでの道程で今日の分のお菓子は既に食べきってしまったから、休憩といっても特に食べるものもない。目的地のキャンプサイトを目前に、水だけを相棒にしてその場でしばらく休んでいたところ、対面からやってきたイギリス人風の青年がこちらに向かって手を振ってくるのが見えた。

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こういう山の中で歩いている時、前や後ろからやってくる別のトレッカーに遭遇すると決まってスペイン語で「オラ!」とか「ブエノスディアス!」とかいった挨拶を交わすことになる。完全に何も声を掛けずに無視して歩いて行く人というのはまぁ、ごく稀で、大抵はこの挨拶を通してお互いに気持のよい関係を築こうとするものなのだ。
この時もこの「お決まり」の文句が彼の口から出てくるのだと思っていたが、清々しい顔をして歩いてくる彼の口をついて出てきた言葉は、そんないつもの挨拶とは全く違った種類の言葉だったのである。
「Life is good ! (ライフ・イズ・グッド!)」

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その、玉砂利の敷き詰められた夕焼け時の湖のほとりで、見知らぬ青年から発せられたこの言葉は、何だか本当に美しい響きを持っていたように思った。
Life is good。…この場合、一体どういう風に訳すべきだろうか。
「人生は素敵だ」、か、もしくは「生きてるって素晴らしい」、とか…。
まさに2人も、そういう気持ちをこの場所で感じていたものだから、何だかその、何と表現したら良いのか分からないような2人の気持ちをこの青年が代弁してくれた気さえもして、この不意の言葉には妙に感動してしまったのであった。
そのまま自分たちが歩いてきた方向へと姿を消していく青年に手を振りながら、2人で一緒にこういう旅が出来ていることに対して、心の底から喜びと感謝の気持ちが湧いてきた。
旅に出てきて、本当に良かった。
また玉石を湖に投げ入れながら、お互いにそんな気持ちで黙りこくったまま、夕陽に照らされた静かな水面を、ただただ眺め続けていた…。
湖畔のキャンプ地「Los Cuernos」に到着したのは、やはり予想通り、8時を少し廻った頃。

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今日の夕食用のラーメンはPunta Arenasの韓国食材屋で購入したピリ辛インスタント麺で、中南米でよく売っている「マルちゃん」なんかのインスタント麺より量も多いし、味も抜群にしっかりしている。これにキャンプ受付で買った卵を落として食べる瞬間は、やはりそれはそれで、最高に幸せな瞬間でありました。
この時ばかりは、目の前の美しい湖から完全に目をそらしていて、とにかくお互い喰う事に対して集中してしまっていた。全く、何だかんだと言っておいて、結局のところは2人とも「花より団子」ってことなんだろうか…!?

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