27 January, 09

「Ice Climber。」

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遂に、探検隊は氷の世界へ突入した…。

エントリー場所で、まずは“氷の上を歩く方法”がガイドによって伝授される。
足を垂直に踏み出すこと、斜面では下側の足を外に開いて膝を守ること、等々…。そんなアドバイスを最初は忠実に守りながら歩くのだけれど、歩き始めてみるとこのアイゼンが結構ガシガシと氷に突き刺さってくれるものだから、思った以上に快調に“歩ける”。

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そうすると今度は気持ちに余裕が生まれてきて、結構アグレッシブに走り回ったりしちゃうのである。ガイドの行く道を守らずに、ちょっと横に逸れてみたりして…まぁ、そんな時にはキチンと注意を受けてしまうのですが。なんせ4人もいるからね、ガイドが。
陸地から氷の上に上がってまず最初に感じるのは、表面がかなり汚れているなということである。すぐ傍が森であるから、やはり風に乗ってきた土埃が上から覆いかぶさってしまうのだろう。遠くからは白く見えた場所も歩いてみると“灰色”という感じである。

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しかし、時折出てくる氷の割れ目なんかを覗きこんでみたりすると、その奥の方には見た事もないような透き通ったみず色をした“水たまり”があったりなんかして、ちょっと感動してしまうことになるのだ。こういうのを見ると、何とも凄い場所を歩いているんだって気持ちになる。雪の上を歩くのとは、明らかに感覚が違っている。
歩く道順はガイドが決めるのだが、どうも、いつも同じ場所を歩けるとは限らないらしく、先にたったガイドがその都度氷の状況を確認して、進んでいける場所を慎重に選んでいる。時折、いつも歩いていた場所が歩行不能になってたりもして、そうすると
「ダメだ、戻ろう。道を変更するから。」
なんて事になったりもする。このあたり、まさに“探検”な気分である。

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因みに、ガイドのうちの1人がどうにも“単独行動”なやつで、こいつは何の役に立ってるんだろう…って、ちょっと疑問に思ったりもした。いつも隊から遥か離れた場所を歩いていて、かといって別に、そいつの確認した場所を“隊”が歩いているってワケでもなさそう。見た感じでは、単に元気が有り余った青年…って気がするけど!?
何時間くらい、そんな風にして歩いていたのだろう。誰かが「腹が減った…。」って言っているのを聞いて、何となく時間を確認してみると既にPM2:00を廻っていた。
ガイドもそろそろ休憩かなと思ったらしく、そこから少し行ったところにあった氷上の河原で昼食休憩となった。昼食は参加費には含まれていないから、各自が持参してきた物を食べる。これを忘れてしまうとかなり悲惨です。“買える所”なんて、どこにもないし。

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ある人は缶コーラを何本か持参していて、プシュッとイイ音を立ててその蓋を開けている。これが、晴れてきた空の下で日差しの中のトレッキングをした後だと、何ともいえず魅力的に感じられた。あれをコップに入れて氷河の氷で冷やして飲んだら、最高に美味しいだろうなぁ。次の機会があったら、氷河の上には絶対コーラを持っていこうと思う。
30分程の食事時間の後、一行は更に氷河の奥地へと向けてゆっくりと歩き始めた。日差しが強く、ガイドも含めて皆、大量の“日焼け止め”を顔や首筋に塗りたくっている。これも、氷河トレックをする時の必携商品の一つであろう。
食事前と同じようなペースでしばらくなだらかな氷上エリアを歩いていると、ふと、さっきまでと何だか少し風景の見え方が違っている事に気が付いた。

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何が違うのか…そんな気持ちで周りを良くみると…なんだ、氷の色が違うんじゃないかという事が分かったのである。氷が、白い。まさに“白銀の世界”という感じ。
さっきまで氷の表面を覆っていた土埃が完全に消え去り、グレーがかっていた世界が、いつの間にか、まっさらな氷そのものの“白色”へと変化してしまっていた。
なんてキレイなんだろう。ある意味では、レンソイス(ブラジル)の白砂の砂漠で感じた美しさにも似た感覚である。実際、このエリアの氷の表面は複雑なクレーター状の模様を描き出していて、それがまるで、砂か何かのようにも見えなくないのだ。

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氷の地面には所々に薄みず色の模様が走り、その下に水が流れている事を示している。蒼い水の流れる、氷河の“血管”みたいな感じ。歩くとズボリとハマりそうな気がしてしまうけれど、実際には結構な厚みがあるのか、上を歩いても決して壊れることはない。
水はどこも見た目には“水色”に見えるが、すくってみると限りなく透明に近くて、もちろん、飲む事も可能である。氷の上だけに“キンキン”に冷やされているその水は、パイネのそれにも負けないくらい透き通った味をしていて、本当にとても美味しかった。

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数分後、一行はこのトレックルートの中で最も見晴らしの良い氷の丘の上に立った。
遠くの方には、他のグループが一列に並んで氷上を“行進”しているのが見える。周囲には緑豊かな山の大自然が迫っていて、氷の白さや空の青さとの対比がとても美しい。

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そんな、氷の上の雄大な景色の中で、あの“単独行動派”ガイドはまたもや、あらぬ方向へと歩いていってしまってるようだ。でも、それはそれで、何だか妙に“絵”になっているような…。もしかして、あれは写真撮影用の要員なのかな!??

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ここが結局Tourの折り返しPointだったらしく、その後いくつかの見所を巡りながらも、基本的には別のサイドから出発地点へと戻り始めていた。そういえば、その“見所”のひとつで、氷河の中心部にある“数十メートルも落ち込んだ滝壺”にて、見学の際に初めてあの“ハーネス”を利用した。要は、滝壺の下を覗きこむとき、落ちないようにガイドがそのハーネスを掴んでいるというだけであったが。しかも、かなり“凄い力”で掴まれました。Mなんて身体が小さくて軽いから、そのまま持ち上げられそうになってた(笑)。

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帰り道は途中でどんどんと氷河の“岸”に近づいて行って、そうすると中心部のように深いクレパスがあったりはしないから、かなり歩きやすくはあった。そのかわり、氷の表面は再び“グレー”になってしまったのである。あの、真っ白い世界をもっともっと歩いていたかったけど、時間だから仕方がない。これでももう、しっかり5時間近くは氷の上にいたのである。時間がたつのが本当に早い。それくらい、“アイゼン遊び”は楽しいです。

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朝と同じ“エントリーポイント”でお世話になったアイゼンを脱ぎ、リュックにしまって陸地を歩く。帰りは常に下り坂だから、40分くらいで湖畔へと到着した。
フェリーが来るまでしばらくそこで休憩をして、無料のコーヒーで一服。このコーヒーの味、チリの宿で出てきたのと同じだが、どうにも“古い木製タンスの奥の方の味”がして上手く馴染めない。ギリシャのコーヒーもこんな感じの味(臭い)だった気がするが、日本では全く味わったことのない種類のものだ。豆から挽いたものも、インスタントも同じ味を醸し出しているから、この辺りではメジャーなテイストなのだろう。でも…2人にとっては「ネスカフェ」の方が数倍美味しく感じられるのでした。

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帰りのフェリーの上では、無料で「氷河の氷入りウィスキー」が配られた。噂には聞いていたけれど、なるほど、ここで出てくるわけか。疲れた身体に、“ロック”のウィスキーが沁みわたる。今日は結局天気にも恵まれたし、この黄金色のウィスキーを含めて、最後まで本当にとても充実した氷河Tourであった。

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