PM6:30の開演時間ギリギリに会場となるスタジアム前広場に到着したのだが、人出はあるもののまだそれらしき“音楽”は聴こえてこない。
宿の兄ちゃんが「ブラジル人は時間にルーズだから、時間通りに会場に行けば楽にいい場所が確保できるよ。」と言っていたのは、どうやら本当のことだったらしい。

観客どころか、演者さえも時間にルーズなんだなぁ、この国は…。
それでも会場の周りには既にたくさんの屋台が店を並べていて、美味しそうな串焼肉やビールが飛ぶように売れている。特にビールは普段町で飲むよりも安い値段で売られていて、缶ビールが1缶1.5レアル（\60）という良心的な値付けだ。
日本の祭りなんかだと、こういうものは必ずお高くなっているものだが…しかもこれがまた、いつもの通りのBrasil風“キンキン”具合。これはもう、飲んで酔っ払って盛り上がるにはうってつけという感じである。

2人もそんな屋台を冷やかしながら、1本、2本と串肉を食べすすめ、ビール片手に間もなく会場入口に到着。その頃にはようやく最初のアーティストの演奏がスタートしていて、大きなトラック型ステージ（トラックは、車のトラックの事です。）の上で演奏される音楽に合わせて、その周りを取り囲む数千人の“GRUPO”が踊ったり歌ったり、とにかくはしゃぎまわっているのが見えてきた。

この、SalvadorタイプのNatal版カーニバル“Carnatal”について少し説明しておこうと思う。これは、写真のような両サイド観覧席となった大きな通路の真ん中を、専用トラックの上で音楽を演奏するアーティストたちが何組も通り過ぎていき、それに合わせて観客みんなが盛り上がるという形式のお祭り。各アーティストにはそれぞれ事前にアーティストT-shirtを購入した“グループメンバー（一般客）”たちが数千人単位で付いており、彼らがそのトラックを取り囲むように一緒にパレードに加わりながら、とにかく自由にハシャギ廻るのである。

この、パレードに加わる為のT-shirtと会場観覧席に入る為のT-shirtは別売りとなっており、それぞれの参加者がその参加形態を選ぶのであるが、アーティストと共にパレードに参加する方が値段は高くなっているというわけで、今日は初日だという事もあり、2人は安い観覧席側からこのお祭りに参加しているのである。

因みに観覧席入場用T-shirtも買わずに現場に来ても、パレードを無料で見ることは十分可能である。パレードは観覧席前の通路だけで行われるのではなく、スタジアムを一周する道を通りながら常に演奏し続けるので、グランドレベルからなら道の両サイド：柵の外側から観覧が可能なのだ。でも、お祭り最中での安全性なんかを考えたら、やっぱり観覧席かパレードの中の方が良いのだろうとは思うけれど…。
そうこうしているうちに、観覧席側の観客の数もかなり多くなってきたようだ。ちょっと小腹が空いたといって軽食を取りに1度会場外に出ている間に、帰ってみたら座る（立つ）場所が全くなくなってしまっていた！？仕方がないから、比較的人の少ない場所を見計らって、無理やり身体をねじ込んで場所を確保する。

それにしても、この盛り上がり…San Luisの夜の町でも感じたことだが、ブラジル人が盛り上がった時の一体感はもう、なんだか別次元の雰囲気である。
参加者の80%以上が「馬鹿」の集まりとでもいうような…つまりは、完全に“弾けてしまった人”ばかりなのだ。

観覧席にもひっきりなしにビールやつまみの売り子が通り、みな水のようにそれを飲みまくっている。パレードの参加者には「無料ビール配り専用車」がきちんと配備されていて、アーティストについて歩き・踊り・歌いながら、とにかく彼らも飲みまくっているようだ。各アーティストにはそれぞれ食品・酒メーカーがスポンサーとしてついているから、色々な商品がパレード参加者に無料で配られているのだが、そんな商品の一部がたまに観覧席にも投げ込まれるから、みな飛びつく様にそれを拾いあさる事になる。野球観戦のファールボールを取りに行く人々のようなものか…JとMもアイスを3本、頂きました（笑）。

このパレードは毎日4~6組のアーティストによって構成されていて、大体それぞれ観覧席を含めたスタジアム廻り1周のルートを2周分ほど演奏することになる。

それで大体、全ての演者がパレードを終えるのに1日6~8時間くらい掛かる事になるのである。因みに今日の終了予定時刻は明朝AM1:00ということだが、明日も参加する事でもあるし、今日のところは少し早目に切り上げることにした。というか、熱気が凄過ぎて正直少し疲れたってのもあって…やっぱり多少「歳」なのかなぁ…。