12 December, 08

「Brasilia が描いた“未来”。」

future00.jpg


バスは、予定通りのAM8:00にBrasiliaへと到着した。
だけどターミナルのデジタル表示の時計を見ると、既に時刻はAM9:00を廻っている!?
自分たちの時計が途中で遅れてしまったのかと思ったけれど、どうやら実際は“時差”の影響であるようだ。サルバドールとブラジリアで、時差なんてあったんだっけ…。

とにかくこれによって、大切な1時間を損したような気分になったのは確かである。
なにせ今回のブラジリア滞在時間は今日1日しかとっておらず、次のRio de Janeiroへと向かうバスは今夜8:30に出発予定なのだ。
時間が少しでも欲しいところにきて、時差で1時間もロスしてしまうなんて…とにかく、急いで行動を開始するしかない。
大きな荷物をターミナルに預けると、2人はターミナル前からタイミング良く来たローカルバスに乗っかって、首都:ブラジリアの中枢へと向かった。
最初にバスが到着するのは、飛行機のような形をした都市計画区域の中心に位置する“ロドビアリア”(ローカルバスターミナル)だ。
その周囲に延びる高架の歩道から周囲の景色を見渡してみると、この不思議に“未来的”な都市の片鱗をそこで早くも感じ取る事が出来る。

future01.jpg

Brasilia(ブラジリア)は1970年代にLucio Costa(ルシオ・コスタ)によって計画され、Oscar Niemeyer(オスカー・二―マイヤー)のデザインによる建築をもって実現された、“Aeroplane Shape”を持つ実験的な計画都市である。
ここでは建物は広い緑地の中に点在するように、周囲に余裕を持って建てられており、その1つ1つがそれぞれに独特なカタチと雰囲気を持っている。
その全てに通じるイメージは、見る者にとってはやはり一番に“未来”であるだろう。

future03.jpg

数十年も前に計画され、建設された都市であり、建物であるはずなのに、現代的な新しい建築物や都市の姿から感じる以上に、この街は未来的な要素を含んでいるように見える。
しかし、これは実際、ここ以外では実現される事のなかった“未来図”なのだ。
これ程魅力的に見える都市のイメージが、なぜ未だにここにしか存在しないのか…。

future02.jpg

例えば、人と車の通る道が完全に分けられた道路計画は、しかしその目論見通りには住む人々に使われていないようで、そこかしこで無理な“道路横断”をする人々の姿を見かける。決められた場所だけを通るのでは、“面倒臭い”ということなのだろう。
広大な緑地は見ている分には気持が良いし、その“広がり”や“何もない感じ”が、確かに現実離れしたある種の特別な雰囲気を持っているのだが、その反面、実際に歩いてみると日陰になる部分があまりにも少なく、日差しの強いブラジルの地にあっては散歩する事も一苦労な状態だ。そう考えると、見るだけなら気持のよい都市も、いざ“住む”となれば感じ方も違ってくるということかもしれない。

future04.jpg

結局、多分この完全に統制された空間の“気持ちよさ”が“未来(より良い世界)”というイメージに繋がっているはずなのだが、それは実際、人々が本当に求めている“住みよい世界”とは全く別物だったということだろうか。
理想と現実の間にどうしようもなく横たわっていたイメージの隔たりとでもいうか…。
多分、だからこそ、未だに他の場所でこういう町を見ることは容易にはできない。
そういうわけで、ルシオ・コスタとオスカー・二ーマイヤーによる都市計画は未だ“多数派”になることもないが、それでも彼らの創り出したこの小さな世界はたくさんの魅力的なイメージに溢れていると思う。

future05.jpg

コメントを投稿





コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。