今朝のセスナも何だか不安混じりの手配であったが、それでも無事に充実のCanaimaからSanta Elenaへむけて飛び立つことが出来た。

ハンモックで眠る生活もひとまず終わりというわけだが、この後向かうマナウスで乗る船はやはりハンモックで眠るタイプであるから、まぁ本当にほんの僅かな間だけのお別れである。ここで置いてあったシーツがハンモック睡眠時の掛け布団として丁度良かったため、ちょっと失礼して軽いのを2枚ほどいただいてきてしまった！？
まぁ、色々不手際があったんだから、その迷惑料みたいなものでしょう、これは（笑）。

行きと同じジープの荷台に揺られて空港に到着すると、30分程の待ち時間の末にセスナは大空へと飛び立っていったのである。
今回のセスナには2人の他に乗客がもう一人と、あとはパイロットのみという4人編成だ。相変わらずガタガタとウルサイ音を立ててはいるものの、順調に目的地を目指しているのであろう。周囲には昨日まで下から見上げるように眺めていたテーブルマウンテンが見えているが、上からみても、やはりここは特別な風景の場所である。

そんな景色をぼんやりと眺めながら、当然そのまま直通でセスナはSanta Elenaを目指すのだろうと思っていたのだが、実際はどうやらそういうわけではないらしい。
急に思わぬ方向に旋回したかと思うと、セスナは徐々にその高度を下げながら「一応滑走路です」という感じの茶色い単なる砂利道へと向かっていったのである！？
あそこに着陸するつもりなのかなぁ、やっぱり…。
2人の不安を知ってか知らずか、思ったよりはスムーズなランディングで、無事、セスナはその砂利道へと降り立った。そして、載せていた荷物をその場に下ろすと、再びその砂利道で加速を付けて、当り前のように大空へと戻っていくのだ。

「何か、とっても自由な感じだねぇ、このセスナは…。」
そう言っているそばから、また数十分も進んでいくと新たな凸凹砂利道を見つけて
「ちょっと失礼」というような軽い感じでそこへと着陸していくのである。
今度は追加乗車の客を乗せるようである。こんな所に住んでいる人がいるのだろうか…いや、多分彼らは国立公園の関係者であるのだろう。仕事を終えて、家のあるSanta Elenaへと戻っていくところなのかもしれない。
とにかくこれで、グループは4人編成から6人編成に変わったわけである。
そして再びセスナは大空へ。

最初は小さな機体がどこで落ちるかも…と不安を抱いていたりしたものだが、これだけ気軽に飛んだり降りたりを繰り返されると、こちらの緊張も何だか妙に緩まされてしまうものだ。パイロットにとっては、自転車にでも乗っているような気分だろうか。
そこからしばらくは高度を保ちながらジャングルの上を飛び続け、飛行状態も次第に安定してきたようである。真下には時折「これぞジャングル！」という感じのクネクネと曲がりくねった茶色い川の流れが見えたりなんかして、見ていてなかなか楽しいものだ。

リラックスした気分の中、そんな風にして窓の外に気を取られていると、今度は突然パイロットがその両腕をハンドルから離して、傍らに置いてあったNewspaperを手元に引き寄せたではないですか！？？
そして、おもむろにページをめくると、前も見ないで紙面に没入し始めたのである。
何なに、ちょっと、大丈夫なんすか、それは！？
雲の切れ間を進んでいる機体は時折気流の乱れか何かでガタンガタンと揺れるのだが、新聞を読むことに没頭している前のパイロットは“お構いなし”な感じである。
周囲の乗客もこんな状況には馴れてしまっているからのか、特に何を言うわけでもなく“のほほん”と風景をみてリラックスしている風である。
不安がっているのは、どうやらJとMの2人だけであるらしい。

まぁ、セスナも飛行機である以上、安定飛行中は自動操縦か何かなのだろう…とは思うのだが、それでもやはり機体が揺れたりすると、その都度「おいおい…」と思ってしまうのである。それでもパイロットは手にした新聞を読み続け、数十分後には結局最後まで読破してしまったようだ。その頃にはセスナは既に目的の空港目前まで来ており、久々にパイロットがハンドルを握ったかと思うと、機体は徐々にその高度を下げ始めた。
そして無事、Santa Elenaに到着。
全く、何をやっても、落ち着かせてはくれないなぁ、ベネズエラは。
2人はここから更にバスへと乗り継いで、1晩掛けてブラジル・マナウスへ移動である。
今夜もまた、夜行バスのシートで簡易睡眠となるわけだ。
はたして次にベッドで熟睡出来る日は、一体いつになるかな…。