27 November, 08

「夜の舞踏会。」

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バスがSan Luis(サンルイス)に到着した頃には、時刻は既にPM9:00を廻っていた。

真っ暗な田舎道を走っていたバスは、急に町の光に包まれたかと思うと、いくつかの路地を曲がった末に瀟洒な建物が並ぶ広場のような場所に入っていく。
そこで運転手から「この先が君たちの泊るホテルだ。」…と言われ、荷物を受け取ってバスを降りる。街灯の光が黄色みを帯びていて、風景全体がまるで古い絵の中にでもいるような不思議な雰囲気を醸し出している。
光の色のせいだけではない。よく見ると、町並みというか、光の中に浮かぶ建物の“たたずまい”そのものが不思議な魅力を持っている様である。
ホテルの方向へと続く細い路地を抜ける途中には沢山の小さなバーやカフェが並んでおり、店の奥からはジャズやレゲエや、その店のテイストに合わせた様々なジャンルの音楽が流れ出してきている。店先に立つ黒人たちの陽気な笑い声が、その音楽に被さって独特のリズムを奏でているかの様に聞こえる。
一言でいえば、思わず「カッコいい。」と言ってしまう様な町のたたずまいである。
最初にガイドブックで決めていた宿は上手く見つける事が出来ず、それを途中から一緒になってさがしてくれていた親切な黒人のおじさんの勧めで「Hostal International」という名のバックパッカー宿に泊まる事になった。
これもLonely Planetに載っている宿で、場所がとにかく旧市街の一番賑わっている場所にあるってのが良い。これなら多少酔っぱらっても、すぐに宿に戻ってくることができそうだ。ただ、多少外からのざわめきがうるさく感じる事と、扇風機が置いてある部屋の、それでもどうにもならないような“蒸し暑さ”が少し気になるところではあるが…。
そんな部屋に2人の大きな荷物をドカッと降ろすと、急に夜メシを食べていない腹の“空き具合”が気になり始めた。目の前の石畳の道沿いにレストランが並んでいたから、今夜はあそこで何か食べてみようか…。ますます賑わいを増していく木曜日:平日の夜の街へと、カメラだけを隠し持って早速出かけてみる事にした。
2階にレセプションがあるその宿の階段を降りて、1階の入口から表通りに出てみると、その目の前の道全体が、まるで広場のようにカフェやレストランのテーブルで溢れかえっている。人出も平日とは思えないほどで、そのテーブルと人々の間を縫うようにして通り抜けながら50mほども歩いていくと、そこに今度は本当の“広場”が姿を現した。

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そして同時に目に飛び込んでくる、色鮮やかな民族衣装を羽織った女たちの楽しげに舞い踊る姿。一言で民族衣装といっても、中米~アンデスで見てきたものとはまるで雰囲気が変わってしまっている。黒人たちの漆黒の肌の色と鳴り響く音楽のリズムが、Brasilが育むAfro Culturのエネルギーを感じさせる。

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音楽は響き続け、彼女たちのダンスも終わらない。
そんなSan Luisのうだるように暑い夏の夜は、奮発して注文した豪華な夕食のテーブルの上で、刺激的なスパイスみたいにいつまでも2人を楽しませてくれていたのだった…。

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