25 October, 08

「Sunset into the Salt Lake。」

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ホテルの部屋から外に出てみると、さっきまであんなにも強烈な日差しで肌を焦がしていた太陽の威力も大分弱まり、辺りはすっかりひんやりとした夕方の空気に包まれていた。

それは、相変わらずというか、全く人気の感じられないこの広大な塩の大地のど真ん中にあって、このホテルの存在がどんなに心強いものであるかということをひしひしと感じさせられてしまうような、何だかすこし寂しい空気でもある。

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昼間より少し厚着をして外に出ると、まず何となく宿の周囲をくるりと歩いて1周回り、その後、今まさに太陽が沈もうとしている西の方角へ向ってゆっくりと歩き進んでいく。
真っ白だった塩の大地も、夕日に照らされて淡く、赤っぽく色づいているように見える。
そして、真っ青だった頭上の大空の色も、淡く、水色から朱色へとキレイなグラデーションをつくりながら、徐々にその色を失っていっている様である。

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太陽が沈む西の方角では、さっきまで広がっていた薄い雲も端の方へと移動してしまっていて、キレイに真っすぐな地平線が準備万端で“その時”を、待ち受けているかのよう。
この方角の太陽の下には、周囲に低く小さく見えている“遠くの山々”の姿さえない。
本当の本当に“地平線”に沈む夕日である。

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逆側の空を見ると、僅かに残った雲の側面が大地と同じような淡い朱色に色づいていて、まるで何かが空の上で燃えているかのよう。
そして、薄く淡くなった空の水色がその燃え盛る雲たちを包みこんで、今にもその火を消してしまいそうな気配だ。
こうして色々な国や場所でたくさんの夕陽を見てきたけれど、こんなにも大きな空の下で、しかも地平線の彼方へと沈んでいく夕陽をみるのは今回が初めてかもしれない。
日が傾く速度と同じくらいのスピードで気温もグングン下がってきているようだが、そんなこと全く気にならないくらい、どんどんとその風景の中に魅き込まれていってしまう。
そして、ついに太陽の姿が塩の大地の下に沈んでいってしまうまでの間、ほとんど言葉も発しないで2人それぞれに空と大地の彼方を見つめ続けていた。

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太陽が完全に沈んでいってしまうと、今度は急速に空の色が蒼く暗くなっていく。
この時間の“蒼い風景”も2人はとっても大好きで、逆にこの時間の蒼色に染まった町や人々の生活を写真に撮る事の方が“夕日そのもの”より好きだったりするんだけど、ここでは写真を撮る事も忘れて、その空と大地の色の中に包まれている時間を忘れないようにと大切に、大切に過ごしていた。

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夜になると、電気の使えない塩ホテルの中は、キャンドルの明かりだけで照らされることになる。ダイニングに1本、各個室に1本づつ支給されたキャンドルの明かりだけを頼りにして、しばし静かに寛ぎながら“暖かい夕食”が運ばれてくるのを待つわけである。
そして、PM7:30頃、最初のSopa(スープ)が食卓に並べられて、ようやく待望のDinner Timeがスタートだ。
JとMの他にこのホテルに今日泊まっているのは、2人の日本人女性たちだけ。
4人一緒に1本のキャンドルの明かりの周りで食事を食べるこういう時間も、以外と雰囲気があって妙に楽しかったりして。
因みに彼女たちは1年間のカナダ・ワーホリ生活を終えて、日本に帰国する前にと南米旅行に来たらしい。
カナダで体験した色々な話は聞いていてとっても興味深かったし、カナダの大自然もやっぱりいつか絶対に見てみたいなぁなんて思ってしまいました…。

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