25 October, 08

「Hotel “Playa Blanca”~in UYUNI~。」

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まっ白い“塩の世界”のど真ん中にポツンとたたずむその小さな平屋建てのホテルの外に腰かけて、あらためて目の前の風景に目と耳を傾けてみる。

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先ほどまであんなにたくさんいたジープTourの観光客たちも今はもう誰もいなくて、どこまでも広がる地平線の彼方まで見渡して見ても、眼の先には僕たち2人以外の姿は見る事が出来ない。街の中でいつも聞いているような生活の音も全く聞こえなくて、耳に入ってくるのは風が2人の身体やホテルの壁にぶつかる「ピュウピュウ」という音だけだ。
いや、実際にはここにはJとMの他にも2人の日本人女性が泊っているし、宿の従業員も1人いるにはいるのだけれど、今はみなホテルの部屋の中に入ってしまっているらしくって、
外にいるとその存在を感じる事が出来なっていうだけのことなんだけど…。
それにしても、やっぱりこのホテルに泊まるプランにして良かったと、今この瞬間に絶対的に感じる事が出来た。
通常プラン2泊3日のTourの場合、ここは単に通り過ぎていくだけの観光ポイントの1つにすぎないのだけれど、その時間帯は他のJeep Tourの客もわんさか訪れてくるために、ただただ“騒がしい”だけの場所と化してしまっている。
だけど、いざそのTour客が通り過ぎてしまって、自分たちだけがその場に取り残されてみて分かったのは、そこがまさに陸の孤島とでもいうような、本当に何もない世界だったんだって事であった。

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もちろん、物理的にもまず電気は使えないし、トイレの水だって溜めてあるものを桶で汲んで流すしかないような状態。Tour以外には車もそこには置いてないから、何かの理由で移動したくなったら、その時はただもう歩くしかない。
そんな、慣れ親しんだ“日常生活”から切り離された空間の中でその場所にあるものを改めて考えてみると、結局は空と大地と、その間を埋めるように吹きすさぶ風(空気)だけなんだなって、そんな風に感じてしまったのである。

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太陽の日差しは地面を埋め尽くす塩の白さに照り返されて、ジッとしていても顔や首筋の肌が痛くなってくる。そんな光の世界では本を読むにも目がやられてしまうから、やる事と言ったらもう、とにかく塩の大地を歩き回ることくらいしかない。

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歩いては立ち止まり、また歩いては立ち止まりながら、それぞれの場所から見える風景を確認してみるのだけれど、そこにあるのはいつも、空と、白い大地と、風の音だけ。
とにかく強く感じるのは、空ってこんなにも大きいものだったのかということだ。

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映画「ギルバート・グレイプ」の中でJuliet LuiseがJonny Deppに言うセリフの中に、
「“大きい”って言葉は、空に対してはあまりに小さすぎる。」
と言う様な意味の一節があったと思ったけれど、まさにその気分を2人は今この場所に立って、心から実感する事が出来ている。
モロッコの砂漠でも空の大きさを感じたものだったけれど、それでもそこでは自分たちの周りにいつも、小さな家々や砂丘の創り出す影を見つけ出すことが出来た。

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でもここでは、いざホテルから500mくらい離れたところまで歩いて行くと、そこにはもう、自分たちの身体以外には影を作るものが何もないのである。
それはつまり、遠くの地平線に見える小さな山々の姿以外には、自分たちの周囲にモノとしての“存在感”を感じさせるものがないってことであって、それがこうして見える空の“大きさ”に大きく影響しているんだと思う。

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360°、こちら側の地平線からあちら側の地平線まで、どこを見渡してもそこには“空”が広がっている。そこにバサっと寝っ転がってると、自分が宙に浮いているような気がしてくるくらいだ。こんなの、海のど真ん中以外ではあんまり無いシチュエーションじゃないかなぁ。いや、海の上だと大体が船の上ってことだろうから、その“存在感”に邪魔されてしまいそうな気がする。こんな空の下で大の字に寝っ転がれる体験、ここ以外ではなかなか出来ないんじゃないかって思う。
UYUNIに来たら、塩湖のど真ん中で1日を過ごすのは絶対に素敵な経験になると思うよ。

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