11 October, 08

「空中庭園。」

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AM4:00起床。
昨日までのトレッキングによる疲れも溜まっているから“スッキリと”目覚められたわけではないけれど、今日の為にここまで来たのだから寝坊するわけにはいかない。

30分で支度を済ませ、同部屋のDon(韓国人)と共に、2人はHostelのそばにあるMachu Pichu行きバスの停留所へと向かった。
夜も明け切らないこの時間のAguas Calientesはさすがにまだ冷え込んでおり、マフラーをしないと首回りが少々寒く感じられる。昼間にはうっとおしい程に身体の周りをブンブンと飛び回っている“虫”たちも、まだ行動を開始してはいないようだ。
そんな静けさの漂う朝方の町を、手をポケットにつっこんだまま、小走りで移動していく。
そして、目的のバス停留所に到着してみると、既に数十人に及ぶ“先客”たちが、寒そうに身体を丸めながらバスが来るのを待っているのだった。

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Machu Pichu行の始発出発時刻はAM5:30。まだ1時間近く待たなければならないけれど、この人数であればなんとか自分たちもバスには乗れそうである。
バス停では、このたくさんの“バス待ち客”目当てに、パンや弁当・コーヒー紅茶なんかを売り歩く地元商売人たちの姿も見受けられる。
3人(J&M&Don)もケーキとコーヒーをそれぞれ1ソルで購入し、朝飯代わりに頬張りながら、身体をあたためて時間がくるのを待ち続ける。

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そして、AM5:30。時間通りに現れたバスは、1台2台などという数ではなく、4台・5台と次から次へと現れてくるようだ。それもそのはず、この時間になると、3人が停留所に到着した時とは比べ物にならないくらいの、数百人にも及ぶMachu Pichu行の人々の列がそこにはできていたのである。
ハイシーズンでもないこの時期に、それでもこれだけの人々がこの地に集まってきているんだということに、改めてここで驚かされてしまった。
3人は、2台目のバスの最前列に、無事、席をとることができた。全ての席が埋まるのを待って、遂に遺跡入口へと出発である。
このバスの乗車時間は約30分。AM6:00に遺跡が開場することになっているから、その時間に間に合うように計算されているというわけだ。実は、本来であれば今回のTour参加者はみなAM4:30から1時間半の時間をかけて歩きで遺跡まで移動する事になっていたのだけれど、2人は遺跡入場後にもいくつかの山登りを予定しているため、身体の疲れを考慮して、この移動についてはバスを使わせてもらう事にしていた。
(因みに、バス料金は実費精算。US$7 / 1人・片道です。)
バスは順調に未舗装山道を登っていき、予定時刻どおりに遺跡入口前に到着。この時点で既に、1台目のバスの乗客のみならず、徒歩で山道を歩いてきた大勢のトレッカーたちによって入口付近は大混雑の様相を呈している。
2人(3人)も負けじとその後ろへ“行列”開始。それから数分も経たないうちに受付事務が開始され、徐々に前に並ぶ人々がMachu Pichu公園内に入場し始めた。

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そして間もなく、2人も公園内に入場。そこからはまず、遺跡の一番奥側にある「Huayna Pichu(ワイナピチュ)」入口へと、とにかく走って、走っての移動だ。
なぜみんながこのワイナピチュ入口に急ぐのかと言うと、その山(ワイナピチュ)がMachu Pichu遺跡を見渡すのに絶好のロケーションであるということと共に、その山への入場者数が1日400人までと制限されているからである。
AM7:00とAM10:00の入山時刻にそれぞれ200名づつが割り当てられることになっているのだが、2人が狙っているのはより早い時刻のAM7:00の方。先ほどから空の様子を見ていてもかなり空気が澄んでいるようだし、今晴れているこの天気がいつどのように変わるとも限らないから…。

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と、ここまでは全てが順調だったのだけれど、実はこの先で思わぬ誤算を味わう事になってしまった!? というのも、2人とも入場後のワイナピチュまでの道筋については「走っている前の人たちに着いて行けば何とかなる」というくらいの認識しか持っていなかったのだが、いざ遺跡内を前の人の後ろに着いて小走りして進んでいると、どうもワイナピチュ入口と別の方向に進んでいるような気配を何となく感じ始めたのだ。
不安になってすぐ前を行く人に
「この人々はみんな、ワイナピチュに向かっているんですよね?」と質問してみると…
「どうなんだろう、良く分からないよ…。」だって!??
いちおう歩き続けながらも急いで地図をポケットから取り出し、改めて自分たちの現在位置を確認してみると、どうやら今の道は一番の近道というわけではなく、というより、かなり遠回りな道筋でワイナピチュへと向かってしまっているようなのである。
遺跡は斜面にへばりつくように広がっているのだが、その下側の道を行けば比較敵フラットな道を通って行けたところを、上に登りながら、「見晴らし小屋」と呼ばれる辺りを経由しつつ、山なりに移動してしまっていたのだ。
「どうしよう、道間違えてるよ、絶対!」
この事態に気づいたことで、Mがまず自分たちの確認不足を嘆き始めた。
「見てよ、下の方、あんなにたくさんの人たちがどんどん奥に進んじゃってるじゃん!これじゃ、絶対AM7:00の回の200人に入れないよ。なんで確認しなかったんだろう…。」
そう言いながら、自分の言葉の内容に改めて後悔しつつ、途中からは半ば泣き出してしまったM。「絶対だめだ、あ~、もう、どうしよう、どうしよう…。」

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しかし、そういう状況の中で偶然に通り抜ける事になった“見晴らし小屋”という場所が、まさに絵葉書などに使われているマチュピチュの写真そのままの風景が見られる場所であったのである。そこから見える、まだほとんど人影のない遺跡の、横から昇る朝日に照らされた幻想的な風景を目の当たりにして、Jは迷わずカメラを取り出し、歩く速度を緩めながら、いや、もう立ち止まって写真を撮り始めてしまった。
それを見たMはさらに声を大きくして、
M 「何やってんの、早くしないと本当に間に合わなくなるよ!早く、早く~!!」
そういわれても、この風景の素晴らしさは、今の時間じゃなきゃ絶対にみられないし…。
J 「大丈夫だって、200人には絶対入れるから、とにかくこれ見とかなきゃ損だって。」
M 「そんなの落ち着いて見られないよ~!写真はいいから、早く来てよ!!」
J 「これは絶対見といた方がいいと思うのに…。」
そんなやり取りをしている内に、何だかちょっと険悪なムードになってきてしまった。
こんな、旅のハイライトの1つを訪れながら、どうしてこういう風になっちゃうんだ!??
その後も写真は撮り続けながら、走るMの後を追いかけるJ。

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そしてようやく問題の“ワイナピチュ入口”に到着してみると、何と2人の順番はそれぞれ「50番」と「51番」であったのです。
結局、結構速かった(早かった)じゃん…。この状況には、2人とも顔を見合わせて思わず噴き出して笑ってしまった。
J 「なんかさっき、Mもうほとんど泣いてたよね(笑)。でも、50番だって…。(笑)」
M 「…。だって~…(笑)。あれ、そういえばDonは!??」

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そう、こんな焦った状況だったから、いつも歩みの遅いDon(韓国人)の行方に気を配る余裕がなかったのだ。どんどんと長くなっていく後ろの列にも全く見えてこない様子。
とはいえ、今ここで列を離れて、後ろを見に戻るわけにもいかないし…。
「まぁ、Donも大人だから。大丈夫、きっと何とか間に合うって…。」
そんな無責任な発言でお互いを慰めあいつつ、ちょっと嫌な予感に胸騒ぎを感じる2人。
でも、最終的にはDonもきちんと間に合っていて、無事彼女の目当てのAM10:00登山の権利を獲得しておりました。
その後のHuayna Pichu(ワイナピチュ)でのあれこれについては別の記事で。
ワイナピチュ後に下山して、マチュピチュ遺跡の中に戻ってくると、その時間にはもうこんなにもたくさんの人々でごったがえしておりました。

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やっぱり、朝のあの時間帯に“見はらし小屋”付近に行けたのは幸運だったと思う。
ちなみにこの記事の1枚目の写真は、早朝の見晴らし小屋付近から撮った写真の1つです。

コメント

臨場感たっぷりで読みながらドキドキしちゃいましたよ~
ぼくも京都の金閣でしまるギリギリで滑り込んで
誰もいない景色を眺めて 本来の姿はこっちなんだよな~と感動したことがあります

それとももさんが連続テレビ小説だんだん見てるって前回のコメント見てタイムリーすぎて笑っちゃいました! ぼくも見てるもんで・・・(笑)

感動しましたーーーー!!!
中学の頃、世界史の資料集に載っていたマチュピチュを見て以来、ずっと憧れていた場所です。
ジブリ好きなだけに、やはりラピュタを連想してしまいます^^;
しかし、やっぱりとても苦労するのですね。。。
でも、その苦労が達成感や充実感をもたらしてくれるのですね!
来年、弟がマチュピチュに行く予定なので、参考にさせまーす^^

sonoさんへ

今頃は京都は紅葉でしょうか?いいですね。
「だんだん」でも京都の祇園よく出てきて、
やっぱり日本もいいなぁと思っている次第です。

話は変わりますが、
sonoさん、私の髪の毛どうにかしてください。

ドレッドとったのはいいんですが、
伸び放題で困っています...。

出張カットお待ちしてます。

mariさんへ。

マチュピチュは、やはりその場に立ってみて
初めてわかる感動がある場所でした。
弟さんも、来年この場所に実際にたったら、きっと何かを感じることでしょう。
ラピュタ、本当に連想出来てしまう場所です。
mariさんも、いつか是非!!

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