23 October, 08

「Miner’s Mind。」

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POTOSIの町の後ろにそびえたつ「Cerro Rico(富の山)」と呼ばれるその鉱山に向けて、
13人のツアー客がミニバスに乗り宿を出発したのがAM8:00を少し過ぎた頃。
そこからまず、町外れににあるTour 鉱山夫用の倉庫に寄って、全員お揃いの鉱山服に着替えることになる。これが着てみるとかなりテンションが上がってくるもので、まるで自分が本当に“鉱山の男”であるような気がしてくるから面白い。

こういう服装はやっぱり西洋人の方がよく似合うらしく、ちょっと年配のおじさんが着ている姿を見ていると、まるでそのまま毎日鉱山に働きに出ているように思えてしまう。
それでもJはまだサイズ的には問題なく着れてしまうのだけれど、Mに関してはやはりその小さな身体にフィットするサイズの服がどうしても無くって、自然とダブダブの日本風土方スタイルになってしまった。靴もジャストサイズがなかなか見つからずに最後まで苦労していましたけれど、そちらは何とか最後に良いものを見つける事ができた。
そうして全員が着替えを終えると、その場で6人編成&7人編成の2つのチームに分かれ、それぞれに少人数で団結心を新たにしつつ、そこから更にミニバスで移動。

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今度は“Miner’s Market”という鉱山用品が揃う露店街に立ち寄って、本物の鉱山夫たちへのお土産を買い揃えるのだが、これが何と、洞窟作業中の神経をマヒさせる用の“コカの葉”や糖分摂取の為のジュースと並んで“ダイナマイト”を購入していくのである!?

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かなり危険な商品だと思いますが、ほんと、普通にお菓子なんかと同じ感じで露店のテーブルの上に並んでいる。もし誰か嫌いなヤツとかいたら、これ買ってちらっと“大爆発”を見舞うなんてことも十分に可能な環境のようで…そう思ったらあんまり下手な事はできなさそうだなぁ、なんて思ったりして…。
この“お土産”については買うも買わないもその人の自由ではあるのだけれど、実際買わずに鉱山へと向かう人はまずいないでしょう。そんな雰囲気づくりになっているし!?
なので、参加者はここで50~60ボリビアーノ(≒¥800)くらいの出費が必要です。
とにかくこれで、全ての事前準備が終了することになる。
そこから更にミニバスに揺られて、いよいよ向かうは富の山「Cerro Rico」だ。
鉱山入口付近に到着すると、まずはその辺りで行われている工場作業の見学を行うのだが、これ自体はかなり「ラフ」な造りの、全体に小汚い空間である。ここで出会う鉱山夫たちに買ってきたお土産コカリーフを少しづつプレゼントしながら、ガイドの英語による説明を聞きつつ工場の奥へと進んでいくことになる。
ここは、銀やその他の鉱物資源を岩(砂)の中から選り分けていって、より純度の高い「砂銀」を創り出すための施設であるのだが、そこで出来るのは結局“50%”純度のそれを創り出すことが精一杯であるらしく、あとはそのままの状態でヨーロッパなり中国なりに輸出してしまって、そこから先の銀製品製作過程は「相手国の設備まかせ」ということになってしまっているようである。
自国で全て出来ればより高い利益を得られるのに、その設備投資が出来ないというのが現状であるようなのだ。

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このツアーをガイドしてくれている自称“リャマ顔”ペドロも10歳から15歳までの間鉱山の男として働いていたらしいが、そんな状況でも鉱山夫の稼ぎは「ツアーガイド」なんかよりも随分良いものであると言っていた。
ここではそれぞれが個人営業もしくは十数人単位の私的グループで働いており、稼ぎについては何の補償もない、まさに「その日暮らし」な生活になっている。それでも今はリスクと引き換えの高額な稼ぎが得られているから良いものだろうが、鉱物資源の世界的価格が降落している現状の中で、その先行きはなかなか怪しいものでもあるようだ。
因みにこの自称“リャマ顔”ガイド、2人の中ではリャマの顔というよりも、“マッチ(近藤真彦)”と元日本代表ゴールキーパー“田口”を足して2で割った顔ということで意見が一致することとなりました。一応、参考までに…。
さて、この工場見学の後に待っているのが、いよいよというか、期待をしていた“ダイナマイトの爆発実験”である。
みなが買い求めてきたお土産ダイナマイトの中から2つくらいをその場に提供して、それをその場で1つの大きなダイナマイトにしてしまい、その導火線にガイドがその場で火をつける。そして、その火がついたダイナマイトを皆で“廻し持ち”しながら記念撮影をしていくのだが、導火線が5分間分あると聞かされていても、これはなかなかスリルの感じられる行為である。

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そして、全員が撮影を終了した所で専門のスタッフがそこから50mほど離れた地点にそのダイナマイトを放り投げてくる。全員、しばしの沈黙と、写真を撮るためのカメラ準備だ。
そして…「ブォン!!」という、いきなりの爆発音と共に、眼の先にある地面から大量の砂塵が中空に舞ったのである。

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正直、爆発の規模としては期待していたよりも小さいかなという印象だったが、爆発音はかなりの大きさ。不意をつかれて、ちょっと耳が聞こえづらくなってしまった。
まぁ、これ以上大きな(もしくは近くでの)爆発になると、飛び散ってくる石や砂にやられてしまうということなのだろう。
しかし、本当に世界には色々な「観光Tour」があるものだなぁ…。
その後は遂に鉱山の中に入って現在進行形の掘削作業を見学するのだが、内部は狭く、暗く、そして暑くて、作業をしていなくても息が詰まってしまうような環境である。

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以前、Jが会社勤めをしていたときによく目にしていた建築の解体現場にも近い状況だが、そこが何の安全装置もない地底のトンネルの中であることを考えると、いつ閉じ込められてしまうかという不安と危険がある分、より一層厳しい仕事環境であるといえるだろう。
有毒な粉じんが舞っている事が分かっている中で、鉱山夫たちはマスクもせずにT-shirt姿でコカリーフを噛みながら作業を続けている。そこには、今回のガイド“ペドロ”が働いていた年齢に近い若者たちが本当にたくさんいるのである。

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実際この仕事をつづける人々の平均寿命は50歳にもみたないらしいのだが、しかし、それでも鉱山夫たちはみな、自分の従事しているこの仕事場と仕事そのものに“誇り”を持って挑んでいるように感じられた。
ペドロはその陽気で親切な性格と英語が話せたことによって、“ツアーガイド”という職を得る事ができたのを「幸運だった」と表現していたけれど、それでも自分の今やっている仕事が鉱山の仕事より勝っているとは思えないらしい。その辺りの考え方を知って、この地がまさに「鉱山の町」であるんだという事を改めて感じさせてくれた気がする。
全ての行程を終了して地表に戻ってきた時には、本当に空気と太陽の光の有難さを感じる思いがした。見学ツアーをしてきただけとは思えないような疲れが身体中を襲って来て、集合写真も何だかだらしがない姿になってしまったけれど…。

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この、何十年何百年前にタイムスリップしてしまったかのような過酷な環境の中で働く異国の人々の暮らしを知って、色々と勉強させられたとても良い経験であったと思う。
因みにこのツアーに参加する場合、マスク(又は口・鼻まわりを隠せる布)とグローブ(軍手)は必携アイテムです。ツアーでは支給されないし、アドバイスも特にないので!!

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