10 August, 08

「ある夏の日の午後。」

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遠くの方から、ミンミン蝉の鳴く声がこの部屋の中にも小さく聞こえている。
夏の、良く晴れた日の午後、夕方になる少し手前の、日差しがやわらいでくる時間帯。

午前中から出掛けた海水浴を終えて宿に帰ってきた2人は、少し遅めの昼食を“インスタント麺1.5人前づつ”という簡単メニューで済ませていた。
今は、その時に飲んだビールの酔いが気持ちよく体を和ませてくれている中、部屋のベッドの上に横になって“一休み”しているのです。
部屋の中に空調はないけれど、湿気がないから、天井で回るファンの柔らかい風があるだけで妙に涼しく感じられる。日本の夏と比べると、格段に過ごしやすい気候だ。
隣では、Mが本を読みながら少し眠そうな顔を見せている。
スピーカーに繋いだi-Podから流れるBill Evansの「At The Montreux Jazz Festival」
の中の何かの曲が、泳ぎ疲れた体と耳に気持ち良く響いてくる。
こうしている間にも陽は益々傾いてきていて、窓から入ってくるそよ風の温度も少しづつ“ひんやり”としてきているみたいだ。
本を読んで、日記を書いて、少し居眠りをして、また本を読む。
こういう時間は、どこにいても、また、どんなときでも過ごせるってわけじゃない。
ただベッドで寛いだり、宿でゆっくりするだけなら、いつだってどこでだって出来るけれど、それでこういう“和んだ”雰囲気を常に感じられるってわけじゃないのだ。
それが分かるからこそ、こんな見た目には何でもないような時間を、何よりも、とても素敵な瞬間だと感じることが出来る。
今、i-Podから流れる曲がまた変わった。
相変わらずBill Evansの演奏であることに変わりはないけど。
2人を包んでいるこの空気も、まだしばらくは僕らを和ませてくれそうな感じがする。
また、少し眠くなってきた。
窓の外では、相変わらずミンミン蝉の鳴き声が聞こえている。
夏の日の、小さな時間。その時間の中で感じる、いつもより少しだけ幸せな気分…。

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