11 June, 08

「from SPANISH to ENGLISH。」

まだ夜も明けきらない真っ暗な夜道を進む小さなバスの中には、2人の他に、アメリカ人らしき旅行者が2人と、メキシコ人カップル、国籍不明のおばさん2人組とベリーズ人っぽい黒人の男が1人乗っている。
そんな多国籍メンバーを乗せたバスのシートに揺られながら、この先に待つ国境について考えてみると、正直、少し不安が無いわけでもない。

ベリーズ入国にはビザが必要なのだが、果たして国境でスムーズにそれを手にする事ができるのか、バスはちゃんと、その手続きを待っていてくれるのだろうか…。
とにかく、勢いでここまで来てしまった以上、あとは出たとこ勝負でしかない。
そんな2人の気持ちを知ってか知らずか、20分も走るとバスは国境事務所らしき場所へと到着した。まずは、メキシコ側の出国手続きだ。
ここは、出国税10ドル/1人を支払うだけで、荷物チェックもなく簡単にクリア。
スペイン語訛りの英語で話してくれる係官も、何だかとってもいい人だった。
乗客全員、再度バスへと乗り込んで、今度はベリーズ側の入国審査所へ。
途中、窓の外に目をやると、前に広がる夜の闇の中に派手なネオンの光が浮かんでいた。何かと思ってよく見てみると、入国審査所の手前くらいに数件の「カジノ」が並んでいるらしい。前に座るアメリカ人が、それに対して何やら面白がっている様な、又は馬鹿にしている様な声を上げている。それにしても、ここは一体、どちらの国の国土ってことになるのだろう…。
そんな事に考えを巡らせていると、すぐに次の審査所の前で2人を乗せたバスが停車した。
いよいよ、問題の入国審査だ。
考えてみれば、ビザが必要な国への入国は今回が初めて。とくに怪しいものを持っているわけでもないんだけど、何だか妙にそわそわしてしまう。
そして、あっという間に審査を済ませるアメリカ人たちの後を追って、2人も審査官の前へと進んだ。女性の審査官が話す言葉は、訛りのないキレイな英語。
ベリーズの公用語は英語(スペイン語もかなり通じるらしいが)。メキシコもキューバもスペイン語圏だったから、その「言葉」の違いが、別の国に来たのだということを、強く2人に実感させてくれた。
そして、心配していたビザのことに話が及び、記入すべき申請書類を見せてもらうと…欄外のところに、写真を貼る場所があるではないか。
「そうか、写真か!??」
ビザといえば、写真が必要になる可能性は高い。その事をすっかり忘れてしまっていたから、この時点で2人はちょっと、いや、かなり焦った。
慌ててカバンの中を探ろうかと思ったのだが、よく聞くと、どうやらそこは別に写真を貼る必要はないらしい。少しホッとしつつ、書類の記入を進めていく2人に、係官の女性も親切に欄の説明をしてくれる。ベリーズの人って、結構やさしいのかな。
結局、ビザの手続きに少し時間が掛かったものの、基本的には何のお咎めもなく、荷物検査もほとんどノーチェックで通過。あっけない「入国」の手続きに、2人とも何だか力が抜けてしまった。
それでも、とにかくまた新しい国へとやってきたのだ。ベリーズ・シティに向けて再び走り始めたミニバスから外を見ていても、看板や標識が全て英語で書かれている。
夜明けの光の中に過ぎていくそんな町の風景に目を向けながら、安心した気持ちと身体に襲ってきた眠気の中で、今日からの「新しい生活」に思いをはせていた…。

belize.jpg

コメントを投稿





コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。