19 May, 08

「ララインサール。」

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美しい刺繍で有名な村、「サンアンドレス・ララインサール」に行ってきた。

チアパス州に数ある刺繍自慢の村の中でも、ここの刺繍は特に美しいと評判らしい。そんな噂を聞いたものだから、民族衣装と民芸品にすっかり魅せられたしまった2人は、早速この村を訪ねてみたのだ。村自体は大きくもなく、小さくもない感じの、「中くらい」な規模。昨日までの土曜市・日曜市的な活気が広場に無い分、ある意味閑散とした印象を受ける。村の建物や住居については、ここに限らずどの村にもそれ程「特徴」らしきものは見られない。「バラック」という感じの住まいが並んでいる。その辺、意外と言えば意外だったかな。そして、注目の村人たちの服装についても、今日見た限りではどちらかというと今までの村のような「統一感」が見られなかった。もちろん、女性たちの身に着けている民族衣装は見事な刺繍をあしらった素晴らしい品なのだけれど、それを着ている人の絶対数がそれ程多くないようなのだ。2人が村を歩いていた時間帯はちょうど子供たちの下校時間だったのだが、こと「子供」に関していうと、民族衣装を着ている子は本当に数える程度。
1996年にサパティスタ民族解放軍と連邦政府の間で「アンドレアス合意」が結ばれたところとしても知られる村だから、よっぽど民族的な暮らしが見られるのかと考えていたのだけれど…。でも、考えてみれば、この高度に情報化した社会の中で、純粋に1つの文化を守って暮らしていくというのはとんでもなく難しいことなのだろうとも思う。
こんな小さな「先住民村」にさえインターネットカフェが存在しているし、そこから欧米的な文化を吸収している若者達にとっては、アメリカ的・ヨーロッパ的な文化に憧れを持つのも仕方のないことなのであろう。
そう考えると、もし「民族的な暮らし」と「近代的な暮らし」の両方が認められる社会が理想的な形で実現したとしても、どのみち最終的には若者は欧米型の生活を選び取っていくことになってしまうのかもしれない。
この村の中を歩きながら、ふと、そんな「残念な未来」を想像してしまいました…。

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おばちゃんからモロコシ買ってる子供たちは、これからどういう風に育っていくのか…。

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