23 November, 08

「Jungleジャングル。」

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珈琲色したアマゾンの流れの中に、たまに見え隠れする大きなピンク色の“尾びれ”。
あれは、もしかしたらイルカのそれなのではないだろうか…。

必死になって見始めると、これが結構頻繁に水面上に姿を見せるのである。ただ、尾びれ以上の“からだ”部分を見せてくれるようなことはなく、いつも「そうじゃないか…」というくらいで確証がえられない。
周りの人に訊ねてみても、ポルトガル語で何か言ってくれるのだがそれが“何”なのかが結局のところ分からず仕舞いなのである。
ここのあたり、まったく何とももどかしいなぁ

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そうこうしている内に、いつの間にやら船はさっきまでとは明らかに違った景色の川の中へと突入し始めていることに気が付いた。
今までの“大河”らしさが一気に消え、川幅が極端に狭くなり、両サイドにジャングルの木々が迫ってきている。…これこそ、2人がアマゾン川に思い描いていた「ジャングル・クルーズ」の図ではないか…。
ジャングルの所々では、そこで生活する人々の「水上コテージ」的な家が姿を見せ、男たち・女たちが小さなボートを漕いでそこからこちらの船へと近づいてくる。

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近づいては来るのだが、大部分はだから何をするわけでもなく、こちらの船の速力に負けてそのままツツっと遠のいていってしまうのが不思議なところだ。
彼らは何のためにこちらの船に近づいてくるだろう。大きな船の立てる波に揺られて楽しんでいるのか、単純に船上の乗客に興味を抱いているのか…。そこのところが、結局最後まで分からなかった。

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たまに「商売」として船に近づいてくる輩もいて、自分たちの小さなオール式ボートをタイミング良くこちらの船のサイドにぶつけると、その瞬間カウボーイのように縄など投げてボートを寄せ、高速で引っ張られながらもそのまま船の1階部分に飛び乗ってしまうのである。そこで持ってきたフルーツや食料などを乗客たちに売り歩くのだが、この船の中に関しては、それらの商品を買ってあげている人はとても少なかった気がする。
船と共にかなりの距離を流されてきてしまうわけだが、帰りはやはり、“上り”の船を再び捕まえることになるのだろうか…。

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それにしても、この流域のアマゾン川にはそこに住んでいる人々の生活感が至る所に溢れていて、デッキからそれを眺めているとそのあまりに“絵になる風景”にカメラのシャッターを押してばかりになってしまう。
両側手が届きそうな距離にまで近づいてきたジャングルの大自然は様々な表情を見せてくれるし、時間と共に移り変わる光の加減がそれを美しく演出し続けている。
しかし、とにかく一番魅力的なのは、やはりそこに現れる人々の素朴な姿である。

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“川の上で生活している”ということ自体が既に原始的であるがゆえの現実(現代生活)離れした魅力を秘めているのだけれど、ここでは人々がとても自然に“ジャングルの緑”と“アマゾン川”の中に溶け込んでいるように見えるのが良い。
森と共に生き、川と共に生きている人々。
実際には電気もあればTVも見ているようだし、街からの文化が生活の中に様々な形で入り込んでいて、とても“素朴”というのとは遠いのかもしれないけれど、舟の上から観覧しているだけの2人にとっては、それはまるで映画の1シーンのようにとてもキレイな風景に映ったのであった。知り過ぎない方が、キレイに見える風景もあるだろう。
いや、もしかしたら、ここは知った方がより魅力的な場所であるのかもしれないけれど…。

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船は夕暮れのジャングルの中を、速度を変えることなく進み続ける。
デッキから外の風景を眺める2人は、ついに最後までその場に真に“参加する”ことなく、ひたすら観覧者として通り過ぎていくのみだ。
いつかまた、この場所を違ったカタチで旅する日々が2人には訪れるだろうか…。

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