CM撮影当日。AM9:30に宿を出て、2人はMexico City某所にあるスタジオへと向かった。

午前中の天気は晴れ。エキストラに選ばれているのはMだけなのだが、一応「マネージャー」としてJも同行することに。入れるかどうか分からないって言われてたけど、せっかくのMの晴れ舞台を見ないわけにもいかないし！？
到着したスタジオはアステカスタジアムに近いエリアにあり、規模としてはそれ程大きくはなさそうな感じ。タクシーが門前に到着すると同時に扉がさっと開かれて、特になんのお咎めもなくJも中へと進入することに成功した。
実はこの日、ペンションアミーゴからエキストラとして参加する人は他にも数人いたのだが、なぜかMだけが2時間早めの現地入りを要請されていたのだ。何でなのかは全く知らされていなかったのだけど、ここに来てようやくその「理由」が分かりました…。なんと、M、この日の撮影では、他の人とは別撮りのシーンの「準主役」的なポジションに抜擢されていたのです。それが何となく判明したのは、されるがままに「着替え」と「メイク」をされた後のこと。Mの体の小ささと、顔が童顔なのを FULL に生かした(？）この衣装を見て、何かエキストラには留まらない仕事が待っているんだと、2人はようやく理解したのです。
コスプレと言ってもいい様なこの衣装とウィッグ、監督曰く「日本の小悪魔的な女の子」だそうで･･･。

とにかく、これだけキャラを創り込んでもらうと逆に「別人格」として弾けた演技が出来てしまうようで、Mはもともと緊張していなかったけれど、それ以上に素晴らしい「小悪魔少女」役を舞台の上で魅せていました。撮影の合間には、メイクさんのお直しも入って･･･まるで女優ですねぇ。

因みにCMは携帯電話会社のもので、十何種類かのバリエーションのCMを5日に分けて撮影している（全て日本人出演）。今日Mが出演したシーンの設定は「SUSHI BAR」での１コマで、「主役から携帯を借りたMが料金も気にせず長電話をして、その上主役に怒られても反省もせず、捨て台詞を吐いて去っていく」というもの。キャピキャピした小悪魔(？)を、監督の要求どおりに演じている様子を見ていると、Jの目にもMが何歳なのか分からなくなってくるような！？？このミニスカート姿が、もうすぐ30歳になる女性だとはとても思えないだろうね、特にこちらの人たちには･･･。撮影時間はその１シーンだけで５時間くらい。同じシーンを何テイクも重ねていく作業を見てると、この世界の仕事もかなり大変だなって思いました。でも、段取りやらセット作りの作業には効率の悪さが目立つところもあり、その辺、日本だとどうなんだろうって思ったりもしましたが。
最後は、出演者とスタッフとで記念撮影。何にしても、みんなホントにイイ人たちで、終始イイ雰囲気の中で人生初のCM撮影を行うことが出来たのが本当に良かったと思う。皆さん、お疲れ様でした。

さて、この日の撮影は2本撮り。1本目のMの出番が終了した時点で2人は帰宅予定だったのですが、ここで思わぬ展開が待っていた。2本目のシーンのエキストラが１人ドタキャンしたらしく、補欠要員としてJがお声を掛けられたのです。

さっきのMの撮影を見て「台詞は無理だな…。」と思ってたJですが、今回のはエキストラだから台詞もないし、補欠で後ろの方に映るだけだからと「軽いバイト」気分で快諾したのだが、これが思いがけず大変な撮影になってしまった！？
このシーンには、ペンションアミーゴ組も含めて素人アジア人エキストラ（日本人役）が総勢２０人くらい参加している。今までにない大人数、しかも素人軍団であるがゆえの結果でしょうが、とにかくOKが出るまでにかなりの時間がかかってしまうのです。前方で画面に映るエキストラの人たちにはちょっとした台詞や振付があるのだが、なかなか監督とスポンサーの思うようにならないらしくて…とにかく、何度も何度も同じシーンの撮り直し作業が延々と続いていく。途中、監督からの声が掛かって「ん、終了か！？」と思うと、「5分休憩の後にもう一回撮り直し」だって…。結局、すべてのシーンを撮り終えた頃には夜中の１時をまわっていたのでした。（それでもスタッフの皆さん不満気味だったです。）
最後は、Jもやはりお世話になった監督と記念撮影。それにしても、大して体動かしたわけじゃないのに、精神的にも肉体的にも、もんのすごく疲れたな～。Mも熱演の後だけに、かなり待ちくたびれた様子。監督席の横に座らせてもらってたから、スタッフ気分をそれなりに楽しんでもいたけどね。

エキストラだから、服装もほぼ私服のまま。開始直後でまだお気楽気分のJ。

ペンションアミーゴのみなさん。これも開始直後で、テンション高めなとき。

ちょっとカッコいいめの監督。現場には、「牛丼部」とロゴの入ったジャージを着て登場してきた。
二十歳前の2人の娘さんたちが現場に遊びにきていて、Mは待ち時間中に「日本」話に花が咲いて仲良しに。お父さんである監督については、「He is Cool！」だって。そりゃそうか。でも、良い関係ですね。