「Vegetables。」
昨日の夕方、陽が落ちた後の薄闇の中で、ますます活気をます市場周辺を歩いた。
この時間には、どこかで働かされていたゾウたちも町の向うへと、静かに帰っていく。誰に注目されるでもなく、とても自然に車の行き交う大通りを歩いていくゾウの姿が、やっぱりいかにもインド的だと思う。
そして、その横には、白熱灯の明りの中、人々の活気に溢れた市場の風景が。
途中、1軒の八百屋の前で声を掛けられ、振り向くと笑顔のオジサンが1本の人参を持ってきて、言った。「この人参、美味しいからちょっと食べてみなよ。」
「人参を…ここで?そのまま??」
なにせ、ここはインドなのである。生野菜を洗わない状態で、そのまま口にするっていうのは、どう考えても“自殺行為”だと思うのである。
「う~ん、確かに美味しそうだねぇ。でも…そうだ、うん、今はちょっとお腹いっぱいなんだよね。持って帰って、部屋でゆっくり食べてみるよ。ね!」
オジサンの笑顔が完全に“好意”であることを伝えているだけに、言い訳するのがちょっと申し訳なく思えたけど…背に腹は代えられない。もう“腹下し”はこりごりなのです。
向うも案外あっけなく、「おぅ、そういかい。じゃぁ、そうしなよ。きっと美味いと思うよ。何か欲しいモノがあったら、いつでもまたこの店においで。安くするよ。」なんて、気持ち良く2人を解放してくれたのでした。こういう“イイ人”も、インドにはすごく多い。
その後、次の移動に備えての「おやつ」を大量に買い求めて、気分良く部屋へと戻りました。ジョードプルは、楽しい。良い滞在になりました。