「元気な笑顔。」
演奏会の傍らで、何度も何度も写真をねだる、子供たちの素敵な笑顔…。
本当はじっくりと音楽を聴きたかったんだけど、その可愛らしい笑顔にそそのかされて、途中からはひたすら、彼ら、彼女らの声のする方へ、カメラを構え続けていた。
小さな集落のはずだけれど、子供の数はとっても多い。みな貧しい身なりをしてはいるが、路上でバクシーシをねだる子供たちにある様な、擦れた雰囲気は全く感じられなかった。
どの顔も“生気”に満ちていて、見ていてとても“気持ちのイイ”笑い方をする。そういうのを見てると、本当に、自然とこっちまで顔がほころんでくるものですね。
おそろいの衣装を着て、楽しそうに“演奏会”を眺めていた小さな姉妹。
それぞれの年頃に合わせた、それぞれの表情がある。後ろからは、通り過ぎていく列車の音がゴウゴウと鳴り響いてきている。
…こうして子供たちの写真を撮っている間も、後ろではボパたちの演奏するオリエンタルなインド音楽が流れ、宗ちゃんの与える様々な“指示”が聞こえてきていた。長くこの音楽と接してきている分、宗ちゃんの耳は彼らの技術や奏でられる音に対してかなり厳しく、
「今日は、演奏的にはあまり良くなかったねぇ。まぁ、彼らにもう一度会えたってことだけで今回は“良し”とするべきかな、とは思うが。どうだったかね、ボパの音楽は?」
…なんて具合で、最終的にもなかなか辛口な評価でありました。でも、2人にとっては、とっても良かった。初めて聴く音楽だから、細かい技術なんか当然、全然分からなかったけど、音楽の持つ雰囲気と言うか、この場所に集まったみんなの“気分”というか、そういうのがなんか、胸にジ~ンときた感じ。宗ちゃんみたいにここを何度も訪れるようなことは、2人には多分できないと思うけど、この素敵な音楽とそれを操る人々の素敵な笑顔が、こんな風に少しづつしぼんで、人知れず無くなってしまう…なんて事が、この先もずっと起こらないでほしいな…って、本当にそう思います。まぁ、この小さな笑顔のどれか、いくつかが、数年後にはきっとあの真っ白な衣装を着て、ターバンを巻いて、このキレイな音楽を軽やかに奏でていることとは、思うけど…。