08 December, 10

「静かな水曜日。」

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昨日の夜、毎夜と同じようにメインゲートで礼拝の儀式が行われている最中に、テロとみられる爆破事件が起こってしまった…。

死傷者20名を出したこの出来事を、2人は昨夜、ホテルのロビーで知らされたのである。近所の店にインターネットをしに行った帰り。PM7:00前だっただろうか。

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「さっき、大きな爆破音がしたの気が付かなかったかい?」受付のオヤジにそう言われて、何が起きたのかと問いただしてみると、つい数分前、ダシャーシュワメード・ガートの人混みの中で“テロとみられる”爆弾爆破事件があったのだという…。

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ダシャーシュワメードの礼拝儀式といえば、前夜に2人も見に行った場所である。その場所で起きた突然の“惨事”に、2人ともとっさに鳥肌と寒気を覚えた。そんなことが…いや、だって、音なんて繁華街の中のネット屋では全く耳にすることが出来なかったのである。

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このホテルには昨日の朝に移動してきたばかりだ。火葬場近くのガート沿いに建っているため、部屋の窓や屋上バルコニーからガンガーの姿が目の前に広がって見える。それが気に入って“移住”を決めたのだが、そんな立地条件だからだろう、同じガートの下流で起きた“爆破”の音が、受付で働く彼の耳にまで臨場感を持って響いてきたのだという。

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「とにかく、今日はもう外に出ない方がいい。屋上のレストランでディナーを食べて、部屋でゆっくりしておくんだね。明日には静かになっているよ。」言われて、そういえば屋上にはTVが置いてあったな…って、ふと思いだした。そんな事件が起きたのだったら、きっとニュースで何かしら情報を流しているのではないか…。

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案の定、屋上では従業員たちがニュース速報を食い入るように眺めていた。そしてその傍に、1人の西洋人の姿が。「おれは今さっき、爆破のすぐ近くで礼拝儀式を見ていたんだよ…。」そういう彼の顔は、心なし高揚しているように見える。フィンランド出身だという。色白の肌が、どこか熱気を帯びている感じだ。

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「そんなに大きな爆発じゃなかった。でも、スゴイ音だったし、とにかく驚いて、みな逃げ惑っていたよ。誰かが死んだような風ではなかったけど…怪我人は出てたんじゃないかな…。」そういう彼の言葉を聞いていると、最初に受付のオヤジから伝えられた程には“大きなテロ”じゃなかった様である。ただ、爆破は爆破だ。ニュースの内容を伝え聞いた限りでは、やはり死者も1人出ているらしい。(今日の新聞で再確認したら、死んだのは3歳の子供だった。爆破で飛んできた石が偶然ブツかって…というのが、死因だという。)

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結局、犯行理由や犯人の行方は未だ解明されておらず、現在もなお捜索中とのこと。事件に巻込まれた白人旅行者は2名。1人は軽傷で、もう一人は重傷らしい。翌日の今日は周辺の店のほとんどがシャッターを閉め、死んだ子供の冥福を祈っていた。そのため、町は心なしか静かな雰囲気に包まれてはいたが、とくにピリピリした空気などはなく、路地に入ればそこにはいつも通りの穏やかな生活があった。

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こういう、人々の“動じない”態度というのは、やはり国柄によるのか、それとも何なのか…。少しビクビクとした気持ちで外に出た2人としては、拍子抜けしてしまう程に何もかもが“いつも通り”なのである。

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そんな町の中を歩いている内に2人の気分も落ち着いてきてしまって、勿論、問題のメインガート付近には近寄らなかったけど(それだけは、ホテルの人や地元の人にも「行かない方がいい。」と言われていた)、あとはもう普通に変わらぬ1日を過ごしたのです。

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“Sala”という名の日本人が働くCaféで「Teriyaki Chiken丼」というのを食べ(美味かった)、インドらしくない程オシャレな「Café Moca」を飲み(美味かった)、ポストで葉書を1枚送って、それから床屋でJの髪を切って…。

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ガートにも出てみた。宿のすぐ傍。メインガートからは離れているから、“昨日の事件の痕跡”などは全く感じることができない。ただ、人出はやはり少なくて、いつもなら河の水面にたくさん浮かんでいるはずの観光用ボートも、今日はほとんど見かけなかった。

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ホテルに戻って、屋上のバルコニーからもう一度ガートの風景を眺める。遠くの方にメインガートの姿が見えるが、クリーミーな空気の中に霞んでしまって、詳細を確かめる事は出来ない。ただ、傍の火葬場から上がる煙だけが、いつもと変わらぬ“ガンガー”を感じさせていた。

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この日、部屋に戻ってウダウダしていると、思わぬ珍客が窓の外に現れた。
「猿」である。親子のサル。最初は母親と赤ちゃんだけだったが、あとからもう一匹、子猿が加わって、互いに“毛繕い”をしあっている。

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何だか、嫌な事件が2人の頭を乱していたところに、思わぬ“癒し”を貰った感じ。ガンガーに宿る神様が、2人の為に仕向けてくれた“使い”なのだろうか…。

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ちなみに 夜、“シタール”演奏によるインド音楽を聴きに行ってきました。シタールとは、インド特有の大きな弦楽器。楽器屋さんのような狭い空間での演奏で、弦楽器とパーカッションの奏でるリズムが非常に心地よく身体の中に入ってきた。料金1人150Rs(300円)。
…ただ、演奏後に彼らのCDを買わされる巧妙な“雰囲気づくり”には、少しまいった。シタールとタブラー(太鼓)それぞれの奏者が1枚づつCDを出してくるもんだから「どちらかだけ買う」ってのも、悪い様な気になっちゃって…。1枚300RsもするCDを、結局2枚買ってしまったのでした。最初は「見学料、安い!」なんて思ってたけど、結局それなりに高くついちゃったなぁ。

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