「Ganges。」
Varanasi(ヴァラナシ)の旧市街の西側を流れる、聖なる河“Ganges(ガンジス)”。
その岸辺に連なる“Ghat(ガート)に腰かけ、穏やかな濁水の流れに心を預ける…。
2人にとっては「この河こそがインド。」であり、「インドといえば、ガンガー。」であった。その場所に遂にやってきたのだから、たとえ“聖河”の真意を現時点で掴めていなくとも、やはりそれなりの感慨はある。
インド特有のクリーミーな空気の中、遠くの風景が程良く霞みがかり、河岸のガートと寺院建築の造り出す独特な“シルエット”が、この場所の持つ神聖な空気感を演出する。
乾季である今の時期は河の水位が下がっているから、連なるガート(階段状の堤)は全て歩いて行き来することが出来る。そして、その“河岸の道”を歩くのは沐浴しに来たヒンドゥー教徒たちだけではなく、商売人や観光客、子供、牛、犬、猿…などなど。みなこの濁水の流れに何らかの魅力を感じて、吸い寄せられる様に集まってきてしまうのだろうか。
水面側にはたくさんの観光用ボートが行き交い、その上に乗った観光客たちの持つカメラのレンズが、ガートで沐浴するヒンドゥー教徒たちに向けられる。しかし、それを別段気にする素振りもなく、信者たちはただ無心に、聖なる河の水に身を浸しているのである。
1歩進むごとに新しい風景が現れ、1時間毎に新しい光がその風景の色を変えていく。その度に僕らもまたカメラのシャッターを切り、風景に目を戻してはボンヤリとその場に佇んでしまう。…やはり、ここには何か不思議な魅力があるみたいだ。